2021 Fiscal Year Research-status Report
一般化確率変数の期待値型汎関数に対する推測誤差への漸近分布論的アプローチ
Project/Area Number |
21K03358
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
清水 泰隆 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70423085)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 期待値汎関数 / モンテカルロ誤差 / デルタ法 / 漸近分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は, 飛躍型の確率微分方程式モデルに従う確率過程に対する期待値汎関数をモンテカルロ計算する場合の誤差計算に対する理論的考察を行った. モデルは常に未知パラメータを含むため,その推定量を用いてモンテカルロ計算のためのパスを発生させる必要がある. しかし, 推定量が誤差を含むせいで正しいパスが生成できず,結果的にモンテカルロによる期待値は誤差を含むことになる. 従来の研究ではこのような統計誤差の混入は無視されてきたが,本課題はその問題を細かく解析し,モンテカルロ法によって求めた期待値の推定値に対する統計誤差を解析することを目的にしている. 本年度の研究では,まず一般の距離空間に値をとる確率要素に対して,どうような誤差解析を行い, 対象となる期待値推定量に対する漸近分布導出のための十分条件について解析した.その後,具体的な例として飛躍型の確率微分方程式に視点を移し,その十分条件を満たすための条件の考察を行った. シミュレーションによる実験では, スモール・ノイズ型の拡散過程を離散観測するという設定の下で,ファイナンス等で用いられるコール・オプションの価格計算において,パラメータの推定誤差の影響を分析したが,ほぼ理論を裏付ける結果が得られている. また,次の段階への準備として,フラクショナル・ブラウン運動によって駆動される確率微分方程式に対する推測問題,および,拡散過程の新しいパラメータ推定法の開発にも取り組んだ.これらについては一定の成果を得て,国際誌への掲載が決定している
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
具体的なモデルに対して条件を見つけ,シミュレーションでも理論を裏付けることができており,当初の計画どおりの進展である.これらの結果は論文として国際誌に投稿することができており,一定の成果が上がっていると認識している.
|
Strategy for Future Research Activity |
現在の条件は汎関数の滑らかさなどの強い制約を課しているため,これらの条件の緩和を目指すことが来年度の課題である. それが難しい場合には,モデルのクラスを狭めて考察することを考えている.
|
Research Products
(5 results)