2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K03359
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
渡邊 芳英 同志社大学, 理工学部, 教授 (50127742)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 扇之介 福知山公立大学, 情報学部, 准教授 (80735316)
西田 優樹 同志社大学, 研究開発推進機構, 助手 (70906601)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 加重平均型3状態3近傍ファジーCA / 完全1次保存ファジーCA / CAの時間的空間的な周期性 / 交通流モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究により,ファジー化された3状態3近傍CAにおいて,1次保存則をもつものを完全に分類した.ここで1次保存則もつCAとはベクトル値関数として定義された3状態3近傍ファジーCAのなかである成分の和を保存するCAのことである.そのなかで特にすべての成分の和を保存するCAを完全1次保存するCAと呼ぶ.そのようなCAは数が少なく興味深いものは自明なものを含めて数えるしかない.そのようなCAであって非自明な一つに対して,その漸近的な振る舞いと収束性を理論的に明らかにした. ファジー化された3状態3近傍CAの応用例として2種類の車が混在する交通流をモデル化し,その様々な振る舞いをコンピュータシミュレーションなどを用いて詳しく調べた.この結果はICoMPAC2021において西田により発表されBest Paper Award を受賞した. H.BetelとP.Flochiniはファジー化されたECAなかで加重平均型と呼ばれるクラスを定義し,そのようなクラスの漸近的な収束性を詳細に調べた.我々は3次元のベクトル値関数を用いて3状態3近傍CAのファジー化に成功しており,この枠組みを用いて,3状態の場合にも加重平均型ファジーCAを定義することができる.ECAの場合でも,どの成分を用いてどの成分とどの成分の加重平均をとるかにより多くの加重平均型ファジーCAが定義されるが,ベクトル値関数を用いて定義されたファジーCAでは,その他に様々な自由度があり,特に重要なのは加重平均ととる前に,3次対称群の要素による成分の置換を施したものが加重平均型ファジーCAとして現れることである.詳細なケーススタディーにより様々な3状態3近傍加重平均型ファジーCAの漸近的な振る舞いを調べた結果,このような成分に対する置換群の作用がCAの時間的空間的な周期性の決定にとても重要な役割を果たすことが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3状態3近傍ファジーCAの収束性を調べることが研究の重要な課題の一つであった.その点について3状態3近傍CAにおいてもFCAの場合に倣って加重平均型CAの概念を定義し,それらの漸近的な収束性(時間空間的な周期性)をケーススタディーにより詳しく調べることができた.結果として加重平均型3状態3近傍CAの時間的または空間的な周期性はそのようなCAを3次元のベクトル値関数として表した際に加重平均をとる前に成分の入れ換えを行う際の3次対称群の作用により定まることが示された.その意味で研究の大きな目的に対してかなりの進展があったということができる.ただ,一般の3状態3近傍CAはとてつもないほどの数の型があり,加重平均型のCAはかなり特殊な例に過ぎず,研究はまだその第1歩を踏み出した段階に過ぎない.
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Strategy for Future Research Activity |
我々は,ファジー化された3状態3近傍CAの中で加重平均型と呼ばれるクラスを定義し,そのようなクラスのファジーCAの収束性をケーススタディーにより詳しく調べた.その結果として,ベクトル値関数として表された加重平均型3状態3近傍ファジーCAにおいて,加重平均をととる前に行う成分の入れ換えが漸近的な時間的または空間的な収束性に大きな影響があることを示すことができた.しかしこのような結果は加重平均型の各CA個々に対する議論により得られたものであり,もう少し組織的な議論により一般的な結果を導くことが期待されるがそのことは現状ではできてはいない.今後その方向の研究が必要であると思っている. 3状態3近傍CAの種類は莫大であり,そのなかで加重平均型として定義されたものは非常に特殊なクラスである.ただ組織的に収束性を議論できるクラスとしては唯一のものといってよい.それ以外の3状態3近傍CAを調べる際によりどころとすべき性質として代表的なものとして様々な保存則が考えられる.1次保存則を持つものはすでに分類されているので,そのようCAのかのいくつかを選んで,コンピュータシミュレーションによりそのようなCAの定性的な振る舞いを調べることから始めることも一つの方向性であるし,さらに高次の保存則を定義してそのような高次保存則(ある種のパターンの保存則)をもつCAを数え上げるとともに,高次保存則をもつCAの定性的な振る舞いを調べることも重要な課題となる.
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Causes of Carryover |
今年度(2021年度)はコロナ禍のため,分担者渡邉扇之介氏との直接会っての研究打ち合わせが十分できなかったこと,東京などへの資料収集のための出張もままならず,旅費の支出が予定より少なくなってしまった.次年度(2022年度)は西田優樹氏が東京理科大学へ転出し,研究打ち合わせのため東京理科大学への出張の機会が生じることが予想される.そのため昨年度使えなかった旅費も加えて,代表者および渡邉氏,西田氏が直接あって研究に関する議論を行いたいと考えている.そのため,分担者の渡邉氏,西田氏の分担金も増やしている.
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Research Products
(6 results)