2022 Fiscal Year Research-status Report
非整数階微分方程式系の解に対する精度保証付き数値計算法の研究
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21K03363
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
宮島 信也 岩手大学, 理工学部, 教授 (20367072)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 精度保証付き数値計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
理工学においては,現象を理解するために数理モデルが作られ,これらのモデルを解くことによって,未知の現象の予測や新たな工学的製品の設計等が可能となる.これらのモデルは解析的な手法で解くことが困難であるため,計算機を用いた数値計算により解かれることが多い.
計算機を用いた数値計算では,その計算は正確には行われない.四則演算の結果はその都度有限桁に近似され,極限を含む無限演算は全て有限演算に近似される.これにより, 本来の解とは異なる結果が得られることがある.時として,桁も符号も異なった解が算出されることもある.計算結果から正しい結論を得るためには,計算結果の誤差評価を行って,厳密解の存在範囲を確定する(厳密解を包含する区間を求める)必要がある.これを行う方法が精度保証付き数値計算法であり,従来の数値計算の枠組みでは近似解を求める道具であった計算機を用いて厳密解をも捉えることを可能にする.
令和3年度において,線形非整数階微分方程式系の解に対する精度保証付き数値計算法を構築した.この方法は行列ミッタクレフラー関数に対する精度保証付き数値計算に基づいている.この方法を構築する中で使用した枠組みと同様の枠組みを用いて,令和4年度には,行列ガンマ関数に対する精度保証付き数値計算法を確立した.また,係数テンソルがMテンソルかつ右辺ベクトルが正ベクトルの場合の多重線形系,既約非負テンソルの固有値問題,転置で整合する代数リッカチ方程式の解に対する精度保証付き数値計算法を提案した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の目標であった線形非整数階微分方程式系の解に対する精度保証付き数値計算法の構築が完了し,新たな問題の解に対する精度保証付き数値計算法を提案することもできたため.
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Strategy for Future Research Activity |
クロネッカー構造をもつ大規模行列の実数乗とベクトルの積に対する精度保証付き数値計算法を構築する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大防止に伴い、旅費を使用する機会が減ったため、次年度使用額が生じた。次年度において、旅費に助成金を使用する。
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Research Products
(11 results)