2021 Fiscal Year Research-status Report
A numerical method for stochastic differential equations for interest rate modeling and regulation after the global financial crises of 2007-2008
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21K03365
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
二宮 祥一 東京工業大学, 理学院, 教授 (70313377)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 数理ファイナンス / 確率微分方程式 / 弱近似 / 前進後退型確率微分方程式 / xVA |
Outline of Annual Research Achievements |
リーマンショックによる金融危機後に重要となった、短期金利モデルの任意の2点の間の積分の期待値の計算と、それに依存するxVAと呼ばれる各指標の高速計算が本研究の目的である。10年程前に Lyons-Litterer によって提案された再結合測度法と呼ばれる方法を我々の考案したKLNV法と呼ばれる高次弱近似アルゴリズムと組み合わせることによってこれを実現するというのがこれに対する我々のプログラムである。本年は、実際にKLNV法の一つであるNV法と再結合測度法を組み合わせて計算を行なってみた。 具体的には、(Step 1)KLNV法の一つであるNVアルゴリズムを離散確率変数によって実現したものを用いて有限測度を構成し (Step 2) その様にして得た有限測度の台集合を互いに素な小集合(これを端布集合と呼ぶ)の族に分解(これを端布分解と呼ぶ)して (Step 3) 各端布集合の上で再結合と呼ばれる有限測度の再構成を行なう、という方法で台を減らした有限測度を得るのである. 再結合測度法は未だ理論的な可能性が示されているだけの状態であり、これを実装する為には解決すべき問題が幾つもある。本年はとりあえず、ヒューリスティックな手法で計算を実行してみることに成功した。ここで開発した与えられた測度の台を分割する操作(端布分解)を実行するヒューリスティックアルゴリズムにはまだ理論的な裏づけが無いが数値計算の効率化に有効であることが確認できた。またこれに伴い事前に予想していなかったさまざまな現象を確認した。以下、それらの中で今後の研究に影響をあたえると予想されるものを列挙する。(1) 最初の有限測度の構成方法にはさまざまな方法が考えられるが、その影響の仕方が予想がつかない。(2) 端布分解の方法が近似精度に大きく影響している。(3) 時間の離散化の方法はあまり影響をしていないように見える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の2点についての進捗があった. (1) 測度再結合法による確率微分方程式の離散化の誤差評価の為の指標を考えることとそれを用いた近似定理を得ることを目標とした数値計算の実行. (2) 測度の再結合の為に最初に行なう測度の台集合の分割(端布分解と呼ぶ)のための具体的アルゴリズムを複数構成した. 特に(2)は未だに理論的研究が無いが、実際の計算においてはこのアルゴリズムが計算結果に与える影響が大きいことが数値実験によって確認されたことは今後の研究の方向を考える上で大きな進歩である.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究の結果、測度の端布分解の具体的なアルゴリズムとその分解の数学的根拠の確立が本手法を実際に実行する際には重要であることが判明した。本手法について現在知られている定理は、この端布分解について考慮されていないため、本手法の近似定理を確立するためには端布分解を適切に記述するあたらしい指標が必要となることがわかった。今後はこの点を考慮して研究をすすめることになる。
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Causes of Carryover |
(1) 研究協力者とともに研究打ち合わせのための海外渡航を計画していたがCovid19の世界的蔓延による本学の出張規制および先方の要請等で実行しずらくなりこれを諦めることとなった。 (2) 研究の実行に伴い、数値計算結果を高次元空間の中で可視化することが重要となることが判明した。この用途にはクラウドの計算のみでは難しくローカルで使うことができる計算能力のある端末が必要となるが、これが世界的な半導体不足により年度内の入手ができなかった。
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Research Products
(1 results)