2021 Fiscal Year Research-status Report
パラメーターを含む代数制約式に対する効率的なアルゴリズムの開発
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21K03375
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
佐藤 洋祐 東京理科大学, 理学部第一部応用数学科, 教授 (50257820)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | パラメーター / Border basis / CGS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、効率的な Parametric Border Basisの計算アルゴリズムを構築することを第一の目標としている。その際、分割部の個数を最小限に抑え、かつシンプルなCGS(Comprehensive Groebner Basis)を計算するアルゴリズムの開発が重要になる。今年度は、分割部を構成するパラメーターの非等式に着目し、これを利用したCGSの計算アルゴリズムを開発した。具体的には、非等式を構成する多項式がなすイデアルによる飽和イデアルを計算することで、従来のアルゴリズムで計算されるCGSよりも遥かにシンプルでかつ分割部の個数が少ないCGSが得られることを理論的に保証する定理をいくつか証明した。さらに、これらの定理に基づいてCGSの計算アルゴリズムの改良を行い、数式処理システムSageMath上での実装を通じてアルゴリズムの有効性を確認した。 しかしながら、非等式を構成する多項式がなすイデアルによる飽和イデアルの計算を取り入れたCGSの計算アルゴリズムに関して、得られた理論は未だ未完成である。具体的には実装を通じて得られたいくつかの仮説(理論的予想)が未だ証明できていない。今後は、理論を完成するためにこれらの仮説(理論的予想)に関して、さらに理論を整備する必要がある。 本研究で得られた成果には仮説(理論的予想)の証明を含め、未完成な部分が少なからず含まれているので、当該年度において、成果を論文の形にするまでには至っていないが、国際会議等での発表を通して相応の評価が得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論的な成果が得られた。実装したプロトタイププログラムによる計算実験によって、これらの理論に基づいて開発したアルゴリズムの有効性が確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
CGSの計算アルゴリズムをさらに改良し、効率的なParametric Border Basisの計算アルゴリズムを構築するための理論を整備する。 これらの成果をベースとして、SageMath上でParametric Border Basisの計算アルゴリズムを実装する。これが実現すれば世界で初めてのParametric Border Basisの計算プログラムが実現することになる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスが原因で、参加予定だった研究集会がすべて中止になり次年度に繰越延期になったため、旅費の確保が必要になった。 次年度は旅費として使用する他、プログラムの実装のための環境の整備のための費用として使用する。
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