2021 Fiscal Year Research-status Report
High Performance Computing for Materials Simulation by Quantum-Classical Hybrid Algorithms
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21K03391
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田中 宗 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (40507836)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 達彦 早稲田大学, 理工学術院, 講師(任期付) (20816730)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 量子コンピューティング / 量子アニーリング / イジングマシン / 量子臨界現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題において,2021年度は主に以下の2点の研究を行った.第一に,量子コンピューティング技術の一つである量子アニーリングの性能を理論的に検討するための研究,第二に,ブラックボックス連続最適化に対する量子アニーリング等イジングマシンの適用手法の提案の研究である.
第一の研究では,相互作用が非一様な1次元イジングモデルに対し,相互作用の非一様性と相関のある非一様性を課した横磁場を印加した統計力学モデルを用いた解析を行った.量子アニーリングにおいては,エネルギーギャップが小さくなることにより,その性能が低減してしまうという課題がある.エネルギーギャップが小さくなる問題は様々なものが知られているが,中でも,量子相転移を引き起こす系については,系統的な解析が可能であるため,理論的に量子アニーリングの検討を進める上での雛形となる.そのような背景から,上記のモデルを取り扱った.本研究で取り扱うモデルは,自由フェルミオン系に変換することが可能である.そのため,大規模数値計算により,エネルギーギャップのシステムサイズ依存性,ならびに,動的臨界指数を得ることが可能である.その結果,相互作用の非一様性と相関のある非一様性を横磁場に課した場合,相互作用の非一様性とは相関の無い非一様性を横磁場に課した場合と量子相転移のユニヴァーサリティクラスが変わったことを見出した.また,動的臨界指数の上限並びに下限を解析的に得ることに成功した.この結果は,Annals of Physicsにて報告した.
第二の研究では,ブラックボックス連続最適化に対し量子アニーリング等イジングマシンを適用する手法を新たに提案した.本研究成果は,本研究課題で狙う物質シミュレーションの高速化につながると期待される.本研究成果は,プレプリントサーバ(arXiv:2104.14778)や国際会議AQC2021にて報告した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要にて,第二の研究として述べた「ブラックボックス連続最適化」に対する量子アニーリング等イジングマシンの適用手法の提案は,量子アニーリング等イジングマシンの適用幅を大きく広げる手法であり,今後,様々な場面で活用が期待される手法であると考えられる. 量子アニーリング等イジングマシンを用いた計算では,対象とする組合せ最適化問題がイジングモデルやそれと等価なQUBO形式で表現されている必要があったが,研究代表者らは,当研究課題発足前の2020年にブラックボックス離散最適化に対する量子アニーリング等イジングマシンの適用手法の提案を行った[Koki Kitai, Jiang Guo, Shenghong Ju, Shu Tanaka, Koji Tsuda, Junichiro Shiomi, Ryo Tamura, Physical Review Research 2, 013319 (2020)].これを更に拡張し,ブラックボックス最適化で,かつ,連続変数を決定変数とする問題に対して量子アニーリング等イジングマシンを活用する手法を提案したという位置付けである.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の研究成果を受け,今後は以下の二点に焦点を当て,研究を進めていく予定である.第一に,物質シミュレーションの高速化につながることが期待される,量子アニーリング等イジングマシンやゲート式量子コンピュータの性能を引き出すアルゴリズム開発を実施する予定である.具体的には,対象とする問題に即した量子ゆらぎやミキサーの導入方法を検討する.第二に,量子アニーリング等イジングマシンによるブラックボックス最適化手法を利用して,物質シミュレーションに要する総時間短縮のデモンストレーションを実施する予定である.
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Causes of Carryover |
研究課題発足当初,参加を予定していた国際会議の現地開催が中止となり,オンライン形式での開催となったため,次年度使用額が生じました.2022年度の現地開催の学会参加等に充当する予定である.
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Research Products
(29 results)