2021 Fiscal Year Research-status Report
Kinetic theory of subrecoil-laser-cooled gases based on infinite ergodic theory
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21K03392
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
秋元 琢磨 東京理科大学, 理工学部物理学科, 准教授 (30454044)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 無限測度エルゴード理論 / レーザー冷却 / 非平衡 / 非定常 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトでは、原子集団がレーザーで冷却される過程における分子運動論(エルゴード理論)を構築することが目標である。本年度は、希薄極限に対応した状況(1粒子のダイナミクス)を考え、そのエルゴード特性を明らかにした。特に、サブリコイルレーザー冷却の1原子ダイナミクスの確率モデルにおける無限測度エルゴード理論を示した。具体的には、力学的エネルギーの時間平均の揺らぎの理論を構築した。この揺らぎには、モデルのパラメータに応じて、揺らぎの分布関数に転移があることがわかった。それらの結果の一部は Phys. Rev. Lett. [E. Barkai, G. Radons, and T. Akimoto, “Transitions in the ergodicity of subrecoil-laser-cooled gases,” Phys. Rev. Lett. 127, 140605 (2021)] 及び J. Chem. Phys. [E. Barkai, G. Radons, and T. Akimoto, “Gas of sub-recoiled laser cooled atoms described by infinite ergodic theory,” J. Chem. Phys 156, 044118 (2022)] に出版された。現在、サブリコイルレーザー冷却の1原子ダイナミクスの他のモデル(三つの確率モデル)の結果をまとめ、Phys. Rev. E に投稿中である。また、多体効果の影響を見るため、不均一環境下での単純排他過程の研究も進めている。現在まで、不均一なエネルギーランドスケープを変えることで、流速や拡散係数がエネルギーランドスケープに強く依存することがわかってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、計画通り、1原子ダイナミクスの理論の構築を進め、順調にその理論を構築することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、冷却気体の分子運動論を構築するため、N 個の粒子がレーザーにより冷却されながら、 衝突を繰り返す多体系を考える。レーザーによる冷却は初年度と同じように運動空間上のランダムウォー クモデルを考える。そして、粒子は、剛体球の衝突を行うとする。ただし、レーザーによる相互作用のため、粒子同士の衝突がなくても粒子の運動量は変化する 。この系の分子シミュレーションを行うことにより、運動量の分布関数の時間発展を明らかにする。1粒子の理論は希薄極限と考えることができるため、分子シミュレーションから得られた結果と比較する。 上で実装した分子シミュレーションにおいて、様々な密度の条件の下、シミュレーションを網羅的に行い、運動量の分布の時間発展や長時間極限での粒子の配置分布などを明らかにする。特に、密度やモデルのパラメータが冷却の効率にどのような影響を与えるか明らかにする。 これと並行して、1粒子モデルの原子の平均 2 乗変位の理論も明らかにする。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、対面での研究打ち合わせができなかったため、次年度への繰越が生じた。2022年度では、当初の計画通り、計算機を購入し、研究打ち合わせのため、国内外で旅費を計上する予定である。
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Research Products
(8 results)