2023 Fiscal Year Annual Research Report
Many-body synchronization and non-equilibrium phase transition in frustrated coupled-oscillators
Project/Area Number |
21K03396
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
内田 就也 東北大学, 理学研究科, 准教授 (10344649)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 同期現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は(1)フラストレーションと可塑性の共存する複雑ネットワーク上の結合振動子系および(2)フラストレーションと振幅自由度の共存する結合振動子系を対象として研究を実施した。(1)については、2次元正方格子をベースとして振動子間のつなぎ替えによって生成されるスモール・ワールドネットワークにおいて、位相遅れパラメータαを変化させ、集団同期状態の変化の様子を調べた。2次元正方格子では、一様同期状態からキメラ状態への2次相転移的なシャープな転移が見られた一方、スモール・ワールドネットワークでは転移点がαの高い方にシフトするとともに秩序変数は緩慢な増加を示した。これは、スモール・ワールド性によって集団同期が起こりやすくなったこと、及び各振動子が結合する相手の数が異なるため、同期が起こりやすい領域とそうでない領域が混在することによると解釈される。(2)については、振動子集団の粗視化によって得られる振幅自由度を持つ振動子からなる1次元格子において、位相遅れによる集団同期状態の変化の様子を調べた。その結果、進行波を含む同期状態と非同期状態が時間的に共存する新奇な準安定状態を見出した。また、この準安定状態はさらに位相遅れを大きくすると非同期状態に遷移することが判明した。さらに線形安定性解析によって進行波解が不安定化する位相遅れパラメータの閾値を決定することができた。このモデルは脳におけるニューロン集団を単純化したモデルとみなせ、脳の巨視的なダイナミクスにおける準安定状態の発現の可能性を示唆する。研究期間全体を通して、フラストレーションを持つ結合振動子系の集団動力学の特徴を、位相遅れが逆位相結合に近い場合、結合の時間変化(モビリティーまたは可塑性)の効果、振幅自由度の効果の3つの側面から明らかにした。
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