2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K03414
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
泉田 渉 東北大学, 理学研究科, 助教 (20372287)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ナノチューブ / スピン |
Outline of Annual Research Achievements |
カーボンナノチューブは、スピンを用いた量子素子材料として重要な物質として注目されている。だが、その量子物性には未解明の事柄が多く残されている。これまでの研究により、スピン軌道相互作用やトポロジカルな性質が明らかとなった。本研究では、これら従来見過ごされていた効果に着目し、電子相関まで考慮してナノチューブの電子スピン状態を調べ、さらにスピンとの相互作用によるナノチューブのナノ機械としての機能を明らかとするための理論研究を推進することで、ナノチューブにおいてスピンが関連する未解明現象および未知の物性を明らかにすることを目的とする。 このような観点からもナノチューブにおけるスピン状態を明らかにすることは大変重要な課題である。 ナノチューブ表面の曲率がスピン軌道相互作用を誘起することは先行研究により明らかとなっていた。この効果を従来の理論とは異なる観点から理論的に考察することにより、ナノチューブの結晶構造とスピン軌道相互作用に関する理解を深めることができた。これは、ナノチューブに限らず、物質におけるスピン軌道相互作用の出現機構に関する理解にも繋がることが期待される。さらには、ナノチューブ内における電子のスピンとナノチューブの機械運動との相互作用により角運動量の変換に関するミクロスコピック理論を展開した。これにより電子スピンによるナノチューブハイブリッド素子の可能性を示した。これもやはり、ナノチューブに限らず、物質と電子スピンとの相互作用と角運動量変換に関する機構に関して、従来展開されていた現象論的な理論を超えたミクロスコピックな理論の構築へ繋がることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に沿って研究が進捗しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に沿って今後も研究を進めていく。 また、特に初年度には実現が難しかった、研究討論、研究打ち合わせ、成果発表のための旅行も実施することで、より効率的に研究を進めることを計画している。
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Causes of Carryover |
研究討論、研究打ち合わせ、成果発表のための旅行を実現することが難しかったため。 これらのための旅行を実施することで、より効率的に研究を進めることを計画している。
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Research Products
(6 results)