2021 Fiscal Year Research-status Report
二次元フーリエ分光法による鉛ペロブスカイト太陽電池の電子状態とその動的特性の解明
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21K03429
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
小川 佳宏 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (50372462)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 二次元フーリエ分光 / 鉛ペロブスカイト |
Outline of Annual Research Achievements |
鉛ペロブスカイト太陽電池は、その優れたエネルギー変換効率から新しい太陽電池材料として期待されている。この材料に特有の長寿命のキャリアが存在できる理由として、ポーラロン効果とラシュバ効果が有力である。 本研究では、我々が考案した光電流をプローブとした二次元フーリエ分光法を用いることで、鉛ペロブスカイト太陽電池のバンド端近傍の電子状態とその動的特性を解明する。二次元フーリエ分光法は、位相制御した光パルス列を用いることで、光の吸収過程と放射過程についての二次元スペクトルを得ることができる手法である。これにより、鉛ペロブスカイト太陽電池における長寿命キャリアの起源を明らかにする。本研究では典型的な鉛ペロブスカイト太陽電池としてMAPbBr_3 単結晶を用いることとする。 今年度は、測定系をMAPbBr_3 単結晶のバンド端である 2.3 eVの波長に合わせるために、光源としてTiサファイア再生増幅システム(Coherent RegA)を励起光とした光パラメトリック増幅器(OPA)を用いて、二次元フーリエ分光測定系の構築を行った。しかしながら、OPAは二次元フーリエ分光測定を行うには、パルス毎の強度の揺らぎがあったり、長時間経過すると強度が減少するといった点で、安定性が不十分であることがわかった。そこで、Tiサファイアオシレーターを励起光としてフォトニック結晶ファイバーに導入することで得られるスーパーコンティニウム(SC)光に光源を変更した。Tiサファイアオシレーターの条件を最適化することで、MAPbBr_3 単結晶のバンド端に波長を合わせることができることがわかった。また、長時間の安定性にも問題ないことが確認できたので、SC光を用いた二次元フーリエ分光測定系の構築を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試料として鉛ペロブスカイト太陽電池 MAPbBr_3 単結晶(MA:CH_3NH_3+)を用いて、二次元フーリエ分光測定によって得られる二次元スペクトルから、バンド端近傍における電子状態を明らかにすることを目指して実験を行った。 本年度は、二次元フーリエ分光測定系の構築を行った。測定系をMAPbBr_3 単結晶のバンド端である 2.3 eVの波長に合わせるために、光源としてTiサファイア再生増幅システム(Coherent RegA)を励起光とした光パラメトリック増幅器(OPA)を用いた。この励起パルスを、ネストしたマッハツェンダー干渉計に導入することで4本のパルス列を生成し、試料に照射することで発生する光電流を測定した。二次元フーリエ分光測定を行うのに必要な光電流信号を検出することはできたが、OPAの出力が不安定(パルス毎の強度の揺らぎが大きいことと、長時間発振させていると強度が低下するという問題があった)であったことから、OPAを用いて二次元フーリエ分光測定を行うことは困難であることがわかった。 そこで、Tiサファイアオシレーターにより発生させた1.5 eVのフェムト秒パルスをフォトニック結晶ファイバーに入射することで、スーパーコンティニウム(SC)光を発生させ、これを二次元フーリエ分光測定の光源として用いることとした。このようにして発生させたSC光は、励起条件によってスペクトル形状が変化するが、適切な条件を探すことで、MAPbBr_3 単結晶のバンド端(2.3 eV)にSC光のピークを持つようにできることがわかった。このようにして発生させたSC光をネストしたマッハツェンダー干渉計に導入することで、二次元フーリエ分光測定系の構築を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに、スーパーコンティニウム(SC)光を用いた二次元フーリエ分光測定系を構築したので、今後は、MAPbBr_3 単結晶での測定を行っていく。干渉計を用いて4本のパルス列を生成し、試料に照射することで発生する光電流を測定する。励起パルス列の時間間隔τと信号が放出された時間 t の、2つの時間の関数としてデータを取得し、これをフーリエ変換することで、τのフーリエ変換である吸収周波数と、t のフーリエ変換である放出周波数の2つの周波数の関数として二次元スペクトルが生成される。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で旅費の支出が無かったことが影響して次年度使用額が生じた。翌年度分と合わせ光学素子などの購入に使用する。
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Research Products
(2 results)