2021 Fiscal Year Research-status Report
Multi-photon multiple ionization mechanism in short-wavelength intense laser field
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21K03430
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
彦坂 泰正 富山大学, 学術研究部教養教育学系, 教授 (00373192)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菱川 明栄 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 教授 (50262100)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自由電子レーザー / 多光子多重イオン化 |
Outline of Annual Research Achievements |
自由電子レーザー(FEL)の利用により,短波長高強度レーザー場と原子・分子との相互作用による非線形光学現象についての実験研究が大きく進展し,その主要な過程は摂動的な多段階の光子吸収による多重イオン化であることが分かってきた。その多重イオン化メカニズムの詳細な理解には,フェムト秒のFELパルス中の各光吸収経路で生成している電子状態についての情報が鍵となる。本研究では,これまでに開発を進めてきた多電子・イオン同時計測法に光学レーザーの併用を導入することで,個々の光吸収経路を高度に識別して,それに関与している電子状態を直接的に観測することを目指している。 理研のFEL施設SACLAの軟X線ビームラインBL1を利用し,そこに現有の磁気ボトル型電子分析器を設置して多電子・イオン同時計測実験を実施した。浜松ホトニクス社が開発した高開口率型のマイクロチャンネルプレートを検出器として導入することにより,同時計測効率の大幅な向上を図った。これについては,事前に放射光施設を利用した同時計測実験を行うことで,検出効率の向上等を十分に確認しFEL実験に臨んだ。実験では,FELと同期した近赤外(NIR)フェムト秒レーザーをHeガスに照射し,光イオン化で生じた電子とイオンを同時計測した。そこでは,ジッターによる時間分解能の制限を回避するため,タイミングモニターから得られるFELとNIRレーザーの相対時間差の情報を用いて光電子スペクトルの並べ替えを行い,測定の時間分解能として50fs程度が得られることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
磁気ボトル型電子分析器に高開口率型のマイクロチャンネルプレートの導入を行い、同時計測効率の向上が得られた。また、同期レーザーの併用技術についての進展があった。
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Strategy for Future Research Activity |
光学レーザーを併用した多電子・イオン同時計測法を展開し、FELパルス中の各光吸収経路で生成している電子状態についての情報を得る。具体的な過程としては、内殻二重空孔状態のような複数の内殻電子が関与するイオン化経路をターゲットと考えている。本手法により,分子内の内殻二重空孔状態の観測に加え,タイミングモニターを利用した実時間計測を行うことで,分子の結合状態変化を,元素選択的かつ局所的に捉えることが可能となるものと考えられる。まずは、ヨウ化メチルなどのプロトタイプ分子において,時間分解局所分析の実現を目指す。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による出張の縮小を主とした理由により、残額が生じた。次年度に真空部品の購入に充てる。
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[Presentation] 電子-イオンコインシデンス計測によるKr原子の極紫外非線形内殻イオン化過程の観測2021
Author(s)
伏谷瑞穂, 小泉舜矢, 田口直人, 山田誠, 藤瀬光香, 大和田成起, 富樫格, 中嶋享, 矢橋牧名, 松田晃孝, 彦坂泰正, 菱川明栄
Organizer
第15回分子科学討論会
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