2023 Fiscal Year Research-status Report
タリウム系トポロジカル絶縁体の薄膜化によるトポロジカル輸送現象の探究
Project/Area Number |
21K03434
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
瀬川 耕司 京都産業大学, 理学部, 教授 (20371297)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | トポロジカル絶縁体 / スパッタリング法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、これまでに良質の薄膜作製が報告されていないタリウム系トポロジカル絶縁体について、純良薄膜の作製とその輸送特性の測定を目指している。TlBiSe2 において薄膜の輸送特性を測定すること、および同系について S で Se を置換した系において表面状態に由来のわからないエネルギーギャップが開いていることが観測されているため、その輸送特性を観測することが最終的な目標である。 タリウム系トポロジカル絶縁体 TlBiSe2 の薄膜用ターゲットを自作し、薄膜作製を引き続き行なった。あらかじめ Tl と Bi の比をずらして作製したターゲットにより、成膜時の基板温度を上げる方法で配向性の良い薄膜を得ることができた。しかし、成膜条件の最適化を試みると、同様の条件でもX線のピークが弱くなる傾向が見出された。組成の微調整をして再度、ターゲットを作製したところ、やはり初期の膜質が良く、次第に劣化していく振舞いが見られた。 ターゲット作製の際に Se を過剰にしていることから、焼結の際に Se 過剰の部分が相分離し、ターゲット内で組成が傾斜している可能性を現在のところ考えている。Se の供給を別のターゲットから行うため、Se のみのターゲット作製を試行したところ、これは成功したため、次の段階として Se を過剰にしない組成で可能な限り相分離を避けてターゲットを作製し、二元スパッタでの成膜を試みるところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TlBiSe2 の薄膜そのものはおおむね作製可能であることははっきりさせることができた。条件の最適化にはもう少し時間が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
TlBiSe2 薄膜作製の条件最適化に見通しをつけてから輸送特性の測定を行い、次に S ドープにまで踏み込んで実験を行う。
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Causes of Carryover |
この残額4,955円と同じか、これを下回る額で研究に必要となる物品購入の必要が当該年度内に生じなかったため。この残額は次年度にて適切に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)