2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of a numerical solver "correlation eraser" and application to strongly correlated electron systems
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21K03440
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀田 知佐 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (50372909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 建一 大阪大学, 全学教育推進機構, 教授 (10379274)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 量子多体問題 / 強相関 / 厳密解 / 拡散モンテカルロ法 / MPS / 励起子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、相関が強い系を精密にとらえる手法の開発、および、厳密な数値手法の具体的な物理系への実装を行った。 まず数値対角化以外の方法で量子多体系を厳密に解くことができる手法を開発し、それを1次元ジグザグスピン鎖のハイゼンベルグΓ模型に適用し、その基底状態の相図に現れる量子リフシッツ多重臨界点を同定することに成功した。この手法はフラストレーションフリーと呼ばれる、バルクなハミルトニアンが局所ハミルトニアンの和でかけるモデルにおいて一般的に適用できる汎用性をもつ。例えばジグザグ鎖の場合、三角ユニットにおいて基底状態を構成する局所基底を決め、ユニットを重ね合わせながらつなぎ合わせてジグザグ格子のハミルトニアンを設計する。厳密なバルク波動関数は、各局所ユニットで決めた基底のみに状態空間が収まるような条件を逐次的に課すことで、数値的に厳密な波動関数を構成することができ、更にMPSを使って大きなサイズの系の厳密な波動関数を得ることも可能である。 2点目は、拡散量子モンテカルロ法を用いて、相互作用が強い2次元2層系に閉じ込められた4電子と4正孔までの少数多体系において、ほぼ数値的に厳密な基底波動関数を求めたところ、長距離のクーロン相互作用が多体効果によって繰り込まれた複合粒子であるポリ励起子が安定化することを示した結果である。このポリ励起子は、電子正孔対(励起子)が複数くみあわさり、励起子同士がすべて全結合型で等価な結合エネルギーを持った状態である。一見多体効果が消去されたかのように、励起子が2個、3個、4個と組み合わさった状態の各励起子同士の結合エネルギーはほとんど変わらないことが明らかになった。このことは多体相関がどのように繰り込まれて消去されたかのような効果が得られるパターンのヒントになると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回 量子多体系の厳密解を求める新しい手法を開発できたことは、今後の発展につながる。 一方で、多体系で相関がどのようにエネルギー構造に現れるのかのヒントを具体的な物理系で得ることができた。 これらの結果を総括して今後の研究を展開するための手がかりとしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
まず厳密解を得る手法をほかの系にも適用できるように拡張する。 またポリ励起子の波動関数の構造をしらべ、多体効果がどのように電子分布を最適化するのかについてより詳しい手がかりを得たい。
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Causes of Carryover |
国際会議出席の予定が次年度にずれこんだたため。また計算機購入が、新CPUなどの開発の時期の関係で次年度にずらしたほうが用途に合うことから延期をしたため。
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Research Products
(22 results)