2022 Fiscal Year Research-status Report
Microscopic and systematic investigations for realization of ferromagnetic quantum critical point at zero field
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21K03446
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小手川 恒 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (30372684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松岡 英一 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (20400228)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 強磁性 / 量子臨界点 / CeRh6Ge4 / CeZn |
Outline of Annual Research Achievements |
量子臨界点は絶対零度における2次相転移点であり,非従来型超伝導の出現など興味深い現象が起こる舞台として広く研究されている。一般に圧力などのパラメータで相転移点を下降させることが出来れば,量子臨界点を誘起させることが出来る。しかし,秩序相が強磁性である多くの場合,いわゆる強磁性量子臨界点はゼロ磁場では実現しないと考えられてきた。 今年度はCeZnの圧力下で出現する強磁性相の量子臨界点付近の詳細な相図を明らかにした。CeZnは常圧では反強磁性を示すが、約1 GPaで構造相転移を示し、磁気状態が強磁性へと変化する。このことは古くから知られていたが、本研究では更なる加圧により磁気秩序状態が消失する過程を新たに調べた。約1 GPaで12 K程度であったキュリー温度は加圧により減少し、約3 GPa程度で強磁性量子臨界点に到達するが、その直前で反強磁性と思われる別の相へ変化することが分かった。この相転移は3 K以下で起こるため、量子効果が寄与していることを伺わせ、強磁性量子臨界点の不安定性を裏付ける良い例になると思われる。 また,フェリ磁性体Ce5Ru3Ga2の圧力印加実験を継続して行った。まず、常圧の250 K付近において構造相転移を示すことが分かった。圧力下において約0.4 GPaで磁気転移が消失することと共に、この構造相転移も抑制され、複雑な温度-圧力相図を示すことが明らかになった。NMR測定を行った結果、反強磁性的な磁気的相関が強い系であることが分かった。本系はキラル構造を取るため、空間反転対称性の欠如に起因した物理現象の発現も期待できる。ただし、大型の単結晶作製を何度が試みたが、現在のところ成功していいない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CeZnが強磁性量子臨界点近傍の物質として興味深い対象であることを示すことが出来た。 本研究課題の目的の一つであるCeRh6Ge4のNQR測定は現在0.4 GPaまでの測定を終えている。最終的な目標は0.8 GPa付近での振舞を明らかにすることであり、強磁性転移温度が絶対零度に近づくために,圧力下で,かつ希釈冷凍機温度での測定が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
CeRh6Ge4はゼロ磁場の量子臨界点が0.8 GPa程度に存在すると考えられている非常に稀有な物質である。空間反転対称性の欠如がその量子臨界点の実現に関与している可能性があり、今後,より高圧・低温の測定でゼロ磁場強磁性量子臨界点の有無の判別を行う予定である。
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Causes of Carryover |
神戸大学の低温センター改修のため、実験装置の移動などによって研究計画が少し後ろ倒しになったため。
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Research Products
(4 results)