2021 Fiscal Year Research-status Report
Magnetotransport properties of topological materials with nontrivial magnetic structure
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21K03454
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
鈴木 健士 東邦大学, 理学部, 講師 (80564947)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 磁性トポロジカル物質 / 単結晶育成 / 非共線的磁気構造 / 輸送特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
非自明な磁気構造と電子状態のトポロジーとの相関により発現する新奇物性を明らかにする事を目的とした本研究において、その舞台となる「非自明なトポロジーを有する電子バンド構造」と「非鏡面的な磁気構造」を併せ持つ候補物質の中から、特に非自明なバンド交差点(ディラック・ワイル点)を持つ代表的な結晶構造をとり、かつ母状態の形で本質的に磁性を有する三元系物質に対して試作的な育成を行い、本研究で計画する物性測定が可能なバルク単結晶育成の可否を判断した。 その中で六方晶RAgGe (R = 希土類)に関しては、金属フラックス法における合成条件の一つであるフラックス材料を最適化する事によって、サブミリメートルサイズの単結晶試料の育成に成功した。ここで得られた結果を基に合成温度・時間といった更なる結晶育成の諸条件の改良を通じて大型単結晶試料を育成する事で、2年次以降に計画している磁気輸送特性の測定の実施が可能となると期待される。 また、近年のトポロジカル酸化物における研究の動向を鑑み、当初の研究対象からの拡充の可能性を探るため、非自明な磁気構造を有するトポロジカル絶縁体材料に伝導キャリアを化学的・電気化学的に注入する手法による研究も展開した。これまでにマルチフェロイック材料として知られる磁性酸化物を対象として結晶育成と輸送特性の測定を行ったが、絶縁体の単結晶試料の育成はできているものの、伝導キャリアの注入の成功には至っておらず、物質選択・キャリア注入法に関する改良が必要であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、本研究の遂行に必要となる結晶育成装置系の構築を完了し、候補物質の単結晶育成にも成功した。より大型の単結晶試料の育成は必要であるものの、本年度の成果を基に、第2年度に計画している磁気輸送特性を当初の計画通り実施する事は十分可能であると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で当初の計画から大きな変更はないが、本年度に育成に成功した単結晶を結晶育成条件の最適化を通じて大型化し、磁気輸送特性を測定する。特に、非共面的磁気構造を示す相におけるホール効果の異常は、実空間・波数空間におけるベリー位相の協奏的効果が期待できるため、精密な測定を行う。更に、電子バンド構造の変化に敏感な熱電特性の測定も行い、非自明な磁性とトポロジーの相関による特徴的な電子状態の変化・発現を実験的に明らかにする計画である。 また、新奇磁気輸送特性が観測された後には、化学置換法を用いて相制御及び観測された効果の最大化を行い、物質パラメータの観点から系の磁性・トポロジーの相関についての理解を深める予定である。
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Research Products
(1 results)