2021 Fiscal Year Research-status Report
Non-equilibrium dynamics of quantum order in strongly correlated electron system revealed by using ultrafast x-ray pulses
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21K03457
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| Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
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Principal Investigator |
深谷 亮 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 特任助教 (30735072)
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| Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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| Keywords | 光誘起相転移 / 時間分解X線計測 / 強相関電子系 / 超高速光科学 / 放射光科学 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、光誘起相転移過程における強相関電子物性を反映する多様な量子自由度の長距離秩序構造ダイナミクスを、放射光やX線自由電子レーザーを複合的に利用した時間分解X線回折・散乱法により、対象となる量子自由度の時間スケールやエネルギースケールに合わせて元素選択的に観測することを目的としている。
放射光とX線自由電子レーザーを相補利用した研究を推進し、本年度は主に以下の2つの成果が得られた。
1) 高エネルギー加速器研究機構の放射光実験施設PFにおいて、高繰返し時間分解共鳴軟X線散乱測定システムを確立した。従来の時間分解測定法では、MHz程度の繰返し周波数で発せられる放射光X線パルスが励起レーザーの繰返し周波数に応じて間引かれるため、一般的に利用されている数kHz繰返しの励起レーザーを用いると、通常の実験モードよりも平均X線光子数が2～３桁低下した状況で時間分解実験を実施しなくてはならなかった。そこで、放射光と同程度のMHzの高繰返し周波数で発振可能な励起レーザーを導入することにより、時間分解実験時における平均X線光子数の飛躍的な向上を可能にした時間分解共鳴軟Ｘ線散乱測定システムを構築した。このシステムを用いることにより、マルチフェロイック物質における過渡的な磁気秩序融解ダイナミクスの観測に成功した。
2) X線自由電子レーザー施設SACLAにおいて、強相関電子系遷移金属酸化物におけるフェムト秒時間分解共鳴X線回折実験を実施し、軌道秩序変調に由来する数百フェムト秒周期のコヒーレントなX線回折強度変調の観測に成功した。また、結晶構造を反映するX線回折点では、軌道秩序由来のX線回折点とは異なる変調ダイナミクスが観測された。これら軌道秩序状態のコヒーレントな変調と結晶構造、電子状態との相関を反映した実験結果に対して、より詳細な解析を進めている。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
放射光を利用した高繰返し時間分解共鳴軟X線散乱測定システムの構築に成功したことにより、これまで海外の放射光施設で行う必要があった実験が日本国内でも実施することが可能となった。さらに、X線自由電子レーザーを利用した時間分解X線回折実験を実施して、格子と電子秩序のコヒーレントな相関の観測に成功しており、おおむね本研究計画に沿って順調に進展している。一方、新型コロナウイルスによる海外渡航制限により、海外の実験施設を利用した研究展開が滞っている。
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| Strategy for Future Research Activity |
本年度に構築した高繰返し時間分解共鳴軟X線散乱測定システムを利用して、軟X線領域で観測される多様な量子自由度の長距離秩序構造ダイナミクス研究を加速させる。また、引き続き放射光とX線自由電子レーザーを複合利用して、観測対象となる量子自由度の時間・エネルギーに合わせた時間分解実験を実施することにより、多様な量子自由度がフェムト秒からナノ秒の時間領域にかけて複雑に協奏する光誘起相転移現象のメカニズムの解明を目指す。一方、新型コロナウイルスによる海外渡航制限が徐々に緩和されつつあるため、海外実験施設を利用したフェムト秒時間分解共鳴軟X線散乱実験の実施に向けた準備を進める。
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