2022 Fiscal Year Research-status Report
電気インピーダンス法による液晶トポロジカル欠陥のパターン形成メカニズムの解明
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21K03480
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐々木 裕司 北海道大学, 工学研究院, 助教 (00649741)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 液晶 / 自己組織化 |
Outline of Annual Research Achievements |
液晶材料における配向の自発的なパターン形成のメカニズムの理解を目指し、昨年度に引き続き電気インピーダンスの観点から研究を実施した。これまでの研究から、パターン形成を観察するために必要な試料セルの作成条件と、電気インピーダンス測定で得られるデータとの対応関係については十分な理解が得られてきた。それを踏まえ、今年度は数値シミュレーションで現象を再現することを目指し、計算に必要なパラメータと電気インピーダンス測定のデータとの対応関係について検討を行った。 数値計算を行うには液晶および電極を覆う絶縁層の物性値が必要であり、これらのパラメータを見積もる際に、電気インピーダンス測定で得られる実際のデータが重要な役割を果たすことが分かった。数値計算で必要とされる物性値の中でも、絶縁層の誘電率に関する情報が特に重要であることを見出した。実験データを解析した結果、製造元から提供されている数値と、測定で得られる数値との間に顕著な違いが生じることが分かった。データシートに記載されている数値を得るために検討を行った結果、得られる数値の違いは製膜の方法によって引き起こされており、私たちの実験環境に依存した値を示すことが分かった。 実際に、この事実を踏まえて数値計算を行ったところ、製品データシートの数値を使った場合には定量的な再現が困難である一方、電気インピーダンスから見積もられる実効的な数値を用いた場合、数値計算においても現象を十分に示すことができることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電気インピーダンス測定によって得られる数値を用いて、数値計算の観点からも現象を再現することができた。数値計算による再現が確立すれば、イオンの局所的な振る舞いや、電場の空間分などが定量的にわかり、パターン形成のメカニズムに関してさらに理解が深まると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
実験的な側面からは十分なデータが得られているため、数値計算の再現をサポートするために必要な実験を続けていく。さらに、数値計算で得られる結果を詳細に解析することによってパターン形成のメカニズムに関する知見を深め、容易に実験することができない条件についても研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
実験データを用いて数値計算が可能となり、パターン形成の機構に関して本質的な理解をすることができるようになった。それによって、実験的なコストを節約することに繋がった。同時に進めている光学実験および数値計算環境の拡充に使用する。
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Research Products
(5 results)