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2023 Fiscal Year Research-status Report

内部に封入された駆動源を利用して能動的に動くベシクルを利用した物質輸送系の構築

Research Project

Project/Area Number 21K03493
Research InstitutionKanagawa University

Principal Investigator

鈴木 健太郎  神奈川大学, 理学部, 教授 (60512324)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2026-03-31
Keywords走光性 / 油滴 / 界面活性剤 / ケージド化合物 / ジャイアントベシクル / 物質輸送
Outline of Annual Research Achievements

内部に様々な溶液を封入可能な袋状の分子集合体「ジャイアントベシクル」の内部に、照射された紫外線の方向に自ら動く「走光性油滴」を封入し、この油滴の作用によってベシクル全体が能動的に駆動する「動くベシクル」の構築を目指した研究を進めている。
研究三年目となる2023年度は、可視光によって駆動性を示す油滴を構築するために必要な、新しいケージド脂肪酸の合成を行った。光解離性保護基として、従来用いてきたベンジルアルコールから、可視光領域に吸収を示す誘導体の作りやすいクマリニルメタノールを用いた。光分解後に疎水基となる長鎖アルキル部位にオレイル基を用いた分子では、室温以下の融点を持ち、他の液体分子を混合することなく油滴化できることが確認された。さらに、キセノンランプで、波長400 nm以上の白色光を照射したところ、明確な走光性を示すことが確認された。吸収波長の異なる二種類のケージド脂肪酸を得たことで、それらからなる油滴を共存させた条件での実験を行ったところ、光の波長によって駆動を示す油滴を制御できることを確認した。このことから、本研究の目的である、走光性油滴で物質輸送を行う際において、運度に多様性を与えられることが期待される。
また、意味のある物質輸送を行うために、紫外線光源の状態変化による運動制御に関する研究や、それら運動性をデモンストレーションするための微小流路構築の研究もすすめ、それぞれ一定の成果が得られつつある。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度は、昨年度提案した今後の研究推進方策に従って、新しいタイプのケージド脂肪酸を作ることを中心とした実験を行った。従来の光解離性保護基であるニトロベンジルアルコールと比較して、より暈高いクマリニルアルコールを用いることで、分子間相互作用が増大し、油滴構築の際に問題となり得る低融点で室温固体の化合物が得られてしまう可能性があったが、実際に合成を行って得られた化合物は室温で油状物であったため、この問題は回避された。
今後は、この新しく得られた化合物を基盤とし、さまざまの波長域で走光性を示す油滴を構築し、ただ動くだけでなく、意味のある物質輸送が行える系へとつなげていきたい。

Strategy for Future Research Activity

当初の計画通り、動くベシクルの完成に繋がる研究を行う。引き続き、新しいケージド脂肪酸の合成を行うとともに、より効率性の高い輸送系の実現を目指す。当初計画していたベシクル内部に油滴を封入する方法では、ベシクルの輸送が行えることは確認できているが、再現性や、駆動効率に問題がある。そこで、ベシクルを直接動かすことにこだわらず、ベシクルが分散した溶液自体を動かす方法も活用し、本研究の中心的目的である、「走光性油滴でベシクルを動かす」を実現したい。
これに加えて、構築した輸送系の特色を活かすため、本系に適合した微小流路などの計測系の開発も同時に進める。

Causes of Carryover

本年度は、いくつかの学会で研究成果の報告を行うことを予定していたが、研究を主に遂行している学生の体調不良など予期しない事情が有り、予定通りの成果発表が行えなかった。研究成果自体は順調に得られているので、次年度以降において、成果報告を積極的に行う予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2023 Other

All Journal Article (1 results) (of which Open Access: 1 results) Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Invited: 1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] 進化するベシクル型人工細胞の基盤となるカチオン性自己生産ベシクルの集団計測2023

    • Author(s)
      阿部真也, 松尾宗征, 菅原 正, 鈴木健太郎
    • Journal Title

      Sci. J. Kanagawa Univ.

      Volume: 34 Pages: 25-30

    • Open Access
  • [Presentation] Construction of Model Protocell as a Molecular System2023

    • Author(s)
      Tadashi Sugawara, Muneyuki Matsuo, Taro Toyota, Kentaro Suzuki
    • Organizer
      International Congress on Pure & Applied Chemistry (ICPAC) Bali 2023
    • Int'l Joint Research / Invited
  • [Remarks] 研究室ホームページ

    • URL

      https://www.sci.kanagawa-u.ac.jp/chem/suzuken/

URL: 

Published: 2024-12-25  

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