2021 Fiscal Year Research-status Report
Dynamics of interfacial biomolecules captured by liquid-gas transition
Project/Area Number |
21K03495
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
田中 信行 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 上級研究員 (00724692)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 液-気遷移 / バイオ界面 / 界面分子 / 和周波発生分光法 / ポリマー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、培養細胞組織と外界との境界面をなす細胞外マトリックスをターゲットとして、液-気遷移を利用し界面分子状態を評価することを目的とする。培養細胞組織を覆う液体を気体噴射によって一時的に除去した際に、界面が気中に露出することにより分子状態変化が生じさせ、界面分子の動特性を評価する。特に細胞外マトリックスは細胞接着や配向、分化といった機能性と関連するため、界面分子の動特性とこれらの機能性との関連を調査する。 本年度は、特に界面分子の動特性の検出方法について検討を行なった。本研究で有力な手法と捉えている和周波発生(SFG)分光法は、二次の非線形光学分光手法であり、高い界面選択性を有する。ここでいう界面選択性は、物質構造に非対称性がある場合の境界であり、不均質な物質構造であると本研究がターゲットとしている細胞外マトリックスと外界との境界面だけでなく、細胞-細胞の境界面や細胞-基質の接着面などもSFGの界面となりうる。そこで実験条件をシンプルにするために、異なる2種類の側鎖を持つポリマーをコートした表面を準備し、サンプル表面とした。研究代表者の所属機関に設置されているSFG分光装置(S. Nihonyanagi et al., Annu. Rev. Phys. Chem. 64:579-603, 2013)を用いて分析した結果、気中では比較的疎水性の官能基を持つ側鎖が界面に表出し、液中ではより親水性の官能基のものが表出することがわかった。このことは、研究代表者の独自技術である気体噴射液体排除法においても、気体噴射によって液体が排除された領域の界面分子が、親水性のものから疎水性のものに変化している可能性が示唆される重要な結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究推進の鍵となる和周波発生分光法を実施する環境が整い、予備実験の結果、良好な結果が得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
微視的な界面分子変化と巨視的な液体の濡れ挙動とを結びつけるフレームワークを構築し、一貫性の高い結果が得られる実験系構築を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、SFG分光装置の設置されている拠点に出向くことができず、想定よりも実験回数が減ったため。
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Research Products
(15 results)