2023 Fiscal Year Research-status Report
Dynamics of interfacial biomolecules captured by liquid-gas transition
Project/Area Number |
21K03495
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
田中 信行 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 上級研究員 (00724692)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 液-気遷移 / バイオ界面 / 界面分子 / 和周波発生分光法 / ポリマー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、研究代表者らが独自に考案した濡れ性評価法である空気噴射液体排除法を応用し、バイオ界面における液-気遷移による界面分子の運動性といった動特性評価を目的としている。生体高分子、ポリマーといったバイオ界面は、気中と液中で大きく濡れ性が変わることが多く、物性変化に起因して材料の機能性向上や劣化に直結するため、液-気遷移における物性評価は重要な課題である一方で、このような遷移を人為的に再現性よく引き起こすことが困難であった。空気噴射液体排除法では気体噴射を精密に制御することにより液-気遷移を精度良くコントロールできることから、再現性の良い実験を実現につながる。これまでの研究をふまえて、本年度は数値流体力学シミュレーションソフトウェアを用いた気体噴射液体排除法のモデリングに取り組んでいる。液体排除に伴う流動を現実の実験条件を初期条件としてシミュレーションを行なっているが、実際の液体排除およびその後の濡れ戻り現象を再現するには至っておらず、モデル化誤差が主たる原因であると考えている。特に、液体排除によって多くの場合、固体表面上に液体薄膜が残留するが、このような薄膜が液体流動にどのような影響を及ぼすかどうか、またそもそもなぜ液体薄膜が残留するのかを説明するモデルが構築できておらず、今後の課題である。液体として水を用いる場合、水の吸収帯である近赤外領域の観察によって、液体薄膜を可視化することができると考えており、今後近赤外光による気体噴射液体排除の観察を実施する予定である。また気体噴射液体排除法は画像ベースの評価法であるが、増加する実験データの解析を効率的に実施するために、研究代表者のこれまでの経験を活かして機械学習ベースの画像処理ソフトウェアを開発している。なお本研究を軸として、バイオマテリアル素材開発や原生生物の界面における濡れ性評価に発展している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究拠点の移転に伴い、研究環境の再整備に時間がかかっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
気体噴射液体排除の際に生じる液体薄膜の可視化のために近赤外光による観察を行う。
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Causes of Carryover |
液薄膜観察のための近赤外カメラの調達が難航しているため。入手性の良いものに変更するなどした上で調達を進める。
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