2022 Fiscal Year Research-status Report
統計学的解析によるXFELバイオナノイメージングの深化
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21K03497
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
城地 保昌 公益財団法人高輝度光科学研究センター, XFEL利用研究推進室, 主幹研究員 (30360415)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | コヒーレント回折イメージング / X線レーザー / 生物物理 / 位相回復 / 実験データ解析 / ノイズ除去 |
Outline of Annual Research Achievements |
生命現象を理解するには、構成要素である生体ナノ粒子が機能を発現している状態の過渡的な瞬間構造を捉えることが不可欠であり、超短パルスのXFELを利用したコヒーレント回折イメージング(CDI)は、そのポテンシャルをもつ。その実現のためには、試料以外からの背景散乱、ノイズ、検出器の不感領域等が含まれる実験データから確からしい試料の電子密度を再生する位相回復法の開発と、その信頼度の定量化が希求される。本研究では、これまで培ってきたCDIデータ解析技術を発展させ、統計学的観点の工夫を取り入れることで、次の2つのデータ解析手法開発を行う。 (A) ベイズ推定に基づく背景散乱除去付位相回復法 (B) イメージ画素毎に解析結果の信頼度を定量化する確率的電子密度解析法 令和4年度は、令和3年度に開発した(A)の手法を、検出ノイズおよび背景散乱レベルを変えて計算した70Sリボソームの回折パターンに対して実行し、その適用範囲を調べた。現状のX線自由電子イレーザー施設SACLAで研究代表者等が行っている利用実験のS/N比が当初想定よりかなり低く、(A)の手法の適用範囲外であった。現状のSACLAの測定条件に対応する非常にS/N比の低い回折パターンから確度の高い位相回復を行うための手法を検討中である。 並行して、(A)の手法の適用範囲内である回折パターンについて、(B)の解析法開発を開始した。具体的には初期乱数を変えて(A)の手法を適用した結果を統計的に解析し、画素毎の信頼度を定量化する検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通りの手法開発が進んでいる。一方で、ターゲットにしていた実験の測定条件が、開発した手法の適用範囲外であることが判明したため、新たな手法開発の検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通りの手法開発を進めるとともに、実際の実験条件に対応するための検討を行う。
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Causes of Carryover |
当初予定の旅費を使用しなかったため、次年度使用額が生じた。 次年度使用額は、成果発表を効果的に行うために使用する。その他は当初計画通りに使用する。
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