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2021 Fiscal Year Research-status Report

Elucidation of a Novel Ion Heating Mechanism Utilizing the Characteristics of Whistler Waves and Its Application Development

Research Project

Project/Area Number 21K03500
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

佐野 孝好  大阪大学, レーザー科学研究所, 助教 (80362606)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 千徳 靖彦  大阪大学, レーザー科学研究所, 教授 (10322653)
Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywordsレーザープラズマ相互作用 / プラズマ加熱
Outline of Annual Research Achievements

レーザーなどの電磁波を用いて高密度プラズマ中のイオンを高温に加熱することは、核融合研究などの実験室プラズマにおいて非常に重要かつ困難な課題である。レーザーのエネルギーは臨界密度近傍で電子にまず吸収されるため、通常、イオンは電子との衝突緩和によってゆっくりとしか加熱されない。本研究では、臨界密度のないホイッスラー波の伝播特性を利用し、新奇なイオン加熱機構を提唱する。この機構では、定在ホイッスラー波が崩壊することで、レーザーの振動周期程度の極短時間のうちに電磁波からイオンにエネルギーが直接変換される。これによって、従来の衝突緩和時間と比べて二桁以上も短い時間スケールでイオンを加熱できる。興味深いことに、この機構が起こるための実効的なプラズマ条件は、高強度レーザープラズマや磁場閉じ込め核融合プラズマ、さらには惑星間プラズマと共通しているため、このプラズマ加熱機構は幅広い分野の応用研究に展開できると期待している。
本年度は定在ホイッスラー波による電子加速・加熱に着目し、相対論的電子が生成される条件を解析的に導出した。電子加速は、円偏光定在波の電場の山(磁場の谷)で起こることが数値シミュレーションから明らかになった。さらに、その特徴的な加速ポイントでの電子の運動方程式を調べることで、定在波の振幅に依存して電子軌道に相転移が起こることが示された。この加速は、定在波を形成する相対論的振幅の二つの電磁波と同時にサイクロトロン共鳴を起こすことで実現している。このような現象が、高強度レーザーと固体ターゲットとの強磁場中での相互作用で容易に発生することを発見し、学術論文としてまとめた。また、強磁場を持つ中性子星磁気圏でも同様の電子加速が起こることが予想されるため、現在は天体プラズマへの応用を精力的に検討している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

レーザープラズマを用いてキロテスラを超える強磁場を発生・制御することができるようになってきた。このような強磁場を応用した実験を検討するためには、強磁場中におけるレーザー・プラズマ相互作用という基礎過程を理解する必要がある。もちろん磁化プラズマ中の電磁波の特性は数多く研究されてきているが、相対論的強度のレーザーとの相互作用など、まだまだ面白い問題が残されている状況である。我々は対向ホイッスラー波のつくる定在波を活用した、臨界密度を超える高密度プラズマ中での効率的なイオン加熱過程を発見した。この機構の最も重要な特徴は、電磁波のエネルギーが電子を介することなく直接イオンに輸送されることである。この利点を生かして、レーザー駆動慣性核融合の新しいプラズマ加熱機構としての有用性を検討している。簡単な数値シミュレーションの結果から、爆縮された高密度DT燃料プラズマにホイッスラー波を照射することで数10 keVを超えるようなイオン温度の実現が確認されている。さらに、水素とボロンを含むターゲットを熱的なpB核融合反応が可能な数100 keVに加熱することも原理的に可能であることも示した。今後は、将来的に実験可能なより現実的なシステムデザインの構築や、実験を模擬するような多次元幾何学構造の元での加熱実現性などを調べることが理論シミュレーションの課題になるであろう。

Strategy for Future Research Activity

地球近傍の惑星間空間でホイッスラー波が観測されている。太陽から遠方の領域で太陽風プラズマを高温に維持する機構は未解明であるが、このホイッスラー波同士が相互作用することで、プラズマ加熱に寄与できるかもしれない。レーザー駆動のホイッスラー波と異なり、自然界ではそれぞれのホイッスラー波の振動数は必ずしも同じにはならない。
異なる振動数のホイッスラー波が対向ですれ違う際に、定在ホイッスラー波加熱と類似の現象を起こせるかどうかは自明ではない。そこで、太陽風プラズマを模擬したシミュレーションを行い、ペアとなるホイッスラー波の振動数の違いが、エネルギー輸送過程にどのような影響を及ぼすのかを明らかにしていく。
この例だけに留まらず、トカマクプラズマなどの実験室プラズマや、パルサーなどのコンパクト天体周辺でも類似の現象が起こると考えており、ホイッスラー波をキーワードに学際的な研究展開を推進していきたい。

Causes of Carryover

コロナ禍のため国際会議が中止もしくはオンライン開催になったため。

  • Research Products

    (6 results)

All 2022 2021

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (4 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results,  Invited: 1 results)

  • [Journal Article] 定在ホイッスラー波による高速イオン加熱と核融合科学への応用2021

    • Author(s)
      佐野孝好
    • Journal Title

      プラズマ・核融合学会誌

      Volume: 97 Pages: 427-432

  • [Journal Article] Alfv?n Number for the Richtmyer?Meshkov Instability in Magnetized Plasmas2021

    • Author(s)
      Sano Takayoshi
    • Journal Title

      The Astrophysical Journal

      Volume: 920 Pages: 29~29

    • DOI

      10.3847/1538-4357/ac141e

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] ホイッスラー波特性を利用した新奇イオン加熱機構2022

    • Author(s)
      佐野孝好
    • Organizer
      レーザー学会学術講演会第42回年次大会
    • Invited
  • [Presentation] 定在ホイッスラー波による相対論的電子の生成とレーザーイオン加速への応用2021

    • Author(s)
      佐野孝好、諌山翔伍、高橋健太、松清修一
    • Organizer
      日本物理学会第77回年次大会
  • [Presentation] Plasma heating via the interaction of whistler waves2021

    • Author(s)
      T. Sano, Y. Tatsumi, M. Hata, Y. Sentoku
    • Organizer
      International Conference on High Energy Density Science 2021 (HEDS2021)
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] An Alternative Fast Ignition Scheme by Standing Whistler-Wave Heating2021

    • Author(s)
      T. Sano, S. Fujioka, Y. Mori, K. Mima, Y. Sentoku, R. Kodama
    • Organizer
      28th IAEA Fusion Energy Conference (FEC2020)
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2022-12-28  

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