2023 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of a Novel Ion Heating Mechanism Utilizing the Characteristics of Whistler Waves and Its Application Development
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21K03500
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐野 孝好 大阪大学, レーザー科学研究所, 准教授 (80362606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千徳 靖彦 大阪大学, レーザー科学研究所, 教授 (10322653)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ホイッスラー波 / レーザープラズマ / 磁気圏プラズマ / プラズマ粒子加速 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、臨界密度のないホイッスラー波の伝播特性を利用し、新奇なプラズマ加熱機構を提唱している。本年度は、昨年度に引き続き、定在ホイッスラー波を媒介した新しい電子加熱に関するプラズマ粒子シミュレーションの実施と、解析的な理論モデルの構築を行った。また、ホイッスラー波の伝播過程にも着目し、安定な伝播のための条件を数値シミュレーションによって導き出した。これら現象は、レーザープラズマ実験だけでなく中性子星磁気圏プラズマでも起こりうる共通した物理現象であることがわかっている。特に天体応用に関しては、高速電波バーストと呼ばれる現象への応用が期待されるため、マグネターと呼ばれる強磁場中性子星における物理パラメータでの数値シミュレーションを重点的に行った。その結果、もし中性子星表面で大振幅の電磁波(ホイッスラー波もしくはアルフベン波)が励起された場合、その電磁波が磁気圏を通過できるためのおおよその条件を導き出すことに成功した。電磁波の振幅が小さい場合、安定な伝播が長時間実現する。しかし、大振幅電磁波の場合、イオン音波を励起する減衰不安定が成長し、密度揺動が不安定成長する。その結果、電磁波の伝播は妨げられ、パルス的な電磁波しか伝播できなくなる。そのパルス長は不安定成長率の逆数と一致している。また、さらに振幅が大きくなると輻射圧によってプラズマを圧縮するだけで、プラズマ内部への侵入が全く起きなくなることも明らかになった。圧縮されたプラズマは無衝突衝撃波を形成し、イオン加速機構として働く。これらの描像は、ペアプラズマでも定性的には同様であり、宇宙プラズマでも類似の現象が起こることが示唆された。今後はこの興味深いプラズマ現象を多次元的に解析することで、さらに詳しくプラズマ加熱や加速機構の解明を展開するのが面白いと考えている。
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