2021 Fiscal Year Research-status Report
タングステン合金の照射誘起高靭性化に資する組織形成機構の解明
Project/Area Number |
21K03505
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮澤 健 東北大学, 工学研究科, 助教 (00733726)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 核融合ダイバータ / タングステン / 二元合金 / 照射損傷 / 微細組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
Wの固体核変換元素の生成量に寄与する熱中性子遮蔽の有り、無しの環境にて中性子照射された純WとW合金における微細粒層状組織の熱的安定性、照射欠陥集合体と核変換生成物によるナノクラスター形成を評価することで、照射誘起高靭性化に関する材料強化メカニズムを明らかにすることを目的としている。 2021年度では、Wの改質元素であるReとTaのいずれかを添加した二元W合金を研究対象とした。中性子照射による固体核変換元素の生成を排除して添加元素の影響を評価するために、加速器によるプロトン照射と自己(W)イオン照射を用いてW試料にはじき出し損傷を導入した。これらの照射試料について微細組織観察を行うことで、ReとTaが照射による損傷組織発達に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。 プロトン照射したW試料についてボイドのサイズと数密度の評価及び転位ループと転位線の発達挙動を評価した。いずれの合金試料のプロトン照射材では1.5nm程度の微細なボイドが観察された。照射量の増加に伴い、ボイド数密度は増加した。純Wでは、プロトン照射によって形成されたボイドは自己イオン照射材と比較して数密度は同程度であったが、サイズが2倍程度大きかった。また、プロトン照射材では純Wと比較してRe及びTa添加によってボイドの数密度が小さくなる傾向が得られた。1dpaまでの照射量においては、Reに加えてTaにもボイドの形成を抑制させる効果があると考えられる。 また、いずれのW合金においては、転位ループが合体して成長することで転位線に発達したと考えられる。W-ReとW-Taでは純Wよりも転位ループは高密度に形成された。WにReを添加することでRe原子が自己格子間原子(SIA)とダンベルを形成してフレンケル対の再結合を促進することで、ボイドの形成・成長および転位ループの成長を抑制したと考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度にて得られたプロトン照射と自己イオン照射によるW合金の微細組織発達に関する研究について、国内学会にて成果を報告した。
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年度末日にて東北大学大学院工学研究科助教を退職した。次年度(2022年度)では、これまで得られた研究成果を論文としてまとめることに専念し、今後の研究実施計画の縮小を検討している。
|
Research Products
(3 results)