2021 Fiscal Year Research-status Report
直線磁化プラズマにおける高次非線形構造形成による輸送ダイナミクスの解明
Project/Area Number |
21K03508
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
荒川 弘之 島根大学, 学術研究院理工学系, 准教授 (00615106)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | プラズマ乱流 / 帯状流 / 乱流輸送 / 輸送ダイナミクス / 高次非線形構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では直線磁化プラズマ乱流実験において、孤立渦・飛沫といった3次的・4次的に形成された高次非線形構造による輸送を評価する。様々な乱流条件で高次非線形構造による輸送ダイナミクスを評価することで、これの系統的理解を目指す。 初年度である2021年度は主に本研究を行うための測定機器の製作、及びデータ収集系の整備を行った。様々なプラズマ乱流条件において、効率的に動的な乱流構造を観測するため、2次元空間構造の時間変化測定を行う機器の開発を行った。本研究では、(1)半径方向に複数並べたラングミュアプローブと、(2)周方向多点ラングミュアプローブを同時計測し、乱流揺動に同期した条件付き平均を行うことで、2次元空間構造の時間変化を再構成する。(1)では、半径方向にラングミュアプローブを10点並べた計測器を新規製作した。直径約10cmの円柱状アルゴンプラズマ(長さ約4m)に約5mm間隔でプローブを半径方向に並べ、プラズマ測定による応答特性の評価を行った。(2)では、既存の周方向ラングミュアプローブアレイを用いることとし、消耗した部品の入れ替えによる整備を行った。これらに加え、データ収集装置の整備も行った。以上を踏まえ、特定のプラズマ乱流条件において、(1)及び(2)の計測器の同時計測に成功した。本計測器システム開発により、これまで申請者らが開発してた2次元空間構造の時間変化再構成手法のデータ収集方法に比べて、10倍程度効率化されると見込まれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度の当初予定では、動的な乱流構造の観測のための機器を整備するとした。2021年度は機器の開発及び基礎的な測定試験を行ったため、予定通りの進捗である。以下、具体的な実施状況を示す。 半径方向に10点設置した計測器開発では、既存のラングミュアプローブ設置のモジュールを改造し、新規に半径方向にラングミュアプローブを10点並べた計測器を製作した。本計測器は半径方向に駆動可能な形とし、個々の測定点の応答を比較した。また、既存の周方向64chラングミュアプローブの消耗部品の入れ替えによる整備も行った。これらの計測機器開発・整備のため、タングステン棒やアルミナチューブ、固定部品、信号伝送ケーブル・機器、データ収集系の購入を行った。以上を踏まえ、特定のプラズマ乱流条件で10ch半径方向駆動プローブ及び周方向多点プローブの同時計測に成功した。さらに、流れ測定の定量評価のため、既存のレーザー誘起蛍光測定システムの整備を行った。 また研究協力者と共に、複数の乱流駆動源の共存解析やレーザー誘起蛍光測定によるイオン速度分布関数解析手法の開発を行った。 以上を総合し、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、外部制御パラメータ (磁場強度、中性粒子ガス圧)により、 ラーマ半径、イオン・中性粒子衝突周波数の制御を行うことで種々の乱流状態を生成し、2次元空間構造の時間変化を観測する。得られた2次元空間構造の時間変化を乱流・流れ・個々の高次非線形構造に弁別する。弁別はスペクトル分解や特異値分解を適用することで行う。弁別により、乱流・流れ・高次非線形構造の存在領域の同定を行う。加えて、弁別された構造の共存・競合関係を、動的な粒子輸送・エネルギー輸送評価により求める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響で九州大学への旅費の支出が減ったため、次年度利用額が生じている。今年度の研究促進の為、九州大学へ長期間の出張を予定している為、これにより使用を行う。
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