2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K03509
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
佐々木 真 日本大学, 生産工学部, 助教 (70575919)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 帯状流 / ストリーマ / ドリフト波乱流 / 乱流捕捉 / 位相空間ダイナミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
磁場閉じ込めプラズマには乱流の非線形過程や運動量印加に起因する背景流れが普遍的に存在し、乱流輸送に大きな影響を与える。乱流輸送の空間変調はプラズマ分布変形を引き起こし、輸送障壁や階段状分布等の多様な凸凹な分布を示す。 本年度は、ドリフト波乱流と帯状流・ストリーマ相互作用を対象に研究を推進した。(1)帯状流・ドリフト波相互作用に着目した階段状分布形成のモデルを開発した。開発したモデルでは、波動運動論が対象とする波数・実空間による位相空間における乱流捕捉効果を考慮している。背景プラズマ分布の発展には、帯状流による乱流の空間変調を加味した乱流駆動粒子輸送を導入した。本モデルを用いて、帯状流に起因する階段状分布の再現に成功した。帯状流の空間曲率が負の領域に乱流が局在化すると、乱流局在領域で輸送が活発化するために分布の平坦化が局所的に起こることを示した。本結果は、大規模な大域的乱流シミュレーションで得られている階段状分布と同様の性質を持っている。今後、実験による検証により乱流捕捉効果の実証が期待される。(2)波動運動シミュレーションをストリーマ・ドリフト波相互作用の解析へ拡張した。ドリフト波の空間伝播はストリーマ流に強く制限され、ポロイダル伝播においても乱流捕捉が現れることを示した。乱流捕捉の結果、乱流エンベロープはストリーマの伝播速度で伝播する。この伝播特性は、従来の実験観測と矛盾しない事を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
波動運動論シミュレーションによる位相空間ダイナミクスを考慮したモデルにおいて、帯状流に起因する階段状分布の再現に成功した。分布のcorrugationと乱流・乱流駆動輸送の空間変調の位相関係を明らかにした。本結果は、今後の位相空間ダイナミクスの直接検証の機会を与えるものである。またストリーマのダイナミクス研究では、従来基礎実験装置で計測されていたストリーマ・ドリフト波の空間構造関係と矛盾しない結果を得た。これら一連の研究により、位相空間ダイナミクスが実空間ダイナミクスに大きな影響を与えることを示すことができ、乱流の時空間構造の理解を大きく進展させた。以上により、当初の計画以上に進展していると結論する。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は本年度の成果を踏まえ、波動運動論シミュレーションを以下のように拡張していく。(1)トロイダル効果の導入を行う。トロイダル効果を考慮すると、帯状流はゼロ周波数の静的帯状流と有限周波数の測地線音波(GAM)の2種類が存在する。両者の選択則を通じた乱流の空間伝播・局在化法則を得ることを目指す。(2)輸送ダイナミクスの高精度化を行う。2021年度は準線形理論の枠組みで乱流駆動輸送の表現を使用していたが、これを非線形的な扱いを可能とするよう位相ダイナミクスを考慮するモデルへの拡張を目指す。粒子輸送・熱輸送の同時扱いが可能なモデルを導入し、密度・温度分布形成のミニマルモデルを構築する事を目指す。得られた成果は広く世界に発信していく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により各種の出張が取りやめになってしまった。次年度はコロナ禍の状況を鑑みながら予定していた出張を行う予定である。
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