2023 Fiscal Year Research-status Report
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21K03509
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
佐々木 真 日本大学, 生産工学部, 准教授 (70575919)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西澤 敬之 九州大学, 応用力学研究所, 助教 (00955007)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | プラズマ乱流 / 構造形成 / 乱流輸送 / 時空間ダイナミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
プラズマに内在する空間非対称性を考慮した系における乱流の構造形成機構の研究を推進した。核融合プラズマでは、粒子源や加熱源の空間構造が必ずしも磁気面関数となる訳ではなく、これらに起因する定常的な空間対称性を破る構造が内在している。本年度は、特に粒子源がプラズマ中心とズレている場合における乱流シミュレーションを実施した。非対称性の増減によって、帯状流エネルギーが変化する事を示した。このように空間対称性の破れ度合いにより、乱流や構造形成を制御できる可能性を示した。 また、データ駆動科学的手法による乱流観測や解析手法にも研究を波及させた。乱流観測手法開発としては、マルチスケール畳み込みニューラルネットワークを用いて、計測可能量から計測困難量の推定を行う手法の提案を行なった。抵抗性ドリフト波乱流のシミュレーションデータを用い、密度揺動と静電ポテンシャル揺動の関係をネットワークに学習させることで、密度揺動から静電ポテンシャル揺動の推定を行なった。学習済みネットワークに未学習の密度揺動を入力することで、静電ポテンシャル揺動の時空間構造の推定を行なった。直線プラズマにおける単純な抵抗性ドリフト波乱流状態では高精度で推定が可能であり、定量的な粒子輸送の推定までが可能である事を示した。更に、抵抗性ドリフト波と平行流勾配駆動モードが混在した異種乱流混合状態への拡張も研究が進展している。また、乱流データの解析手法の開発としては、得られた乱流データに多重場特異値分解を適用することで、突発的輸送の素過程の分解が出来る可能性が見えてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、帯状流や乱流捕捉効果を鍵として、乱流の空間局在化に伴う凸凹分布形成や弾道伝播の選択則を得ている。さらに、ストリーマによる乱流捕捉効果を考えることで、基礎実験装置で観測されている乱流の伝播の性質について、新たな視点を与える事ができた。また、プラズマが持つ定常的な空間対称性を破る効果を取り込んだシミュレーションによって、空間対称性の破れが帯状流や乱流のエネルギー分配率に大きな影響を与え得る事を示した。 上記の乱流理論モデルの拡張だけでなく、近年発達しているデータ駆動科学的手法を取り込み、乱流観測手法の開発へも研究を波及させた。特に、乱流シミュレーションと機械学習を組み合わせ、計測困難量の乱流成分を推定する手法を提案した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、大域的プラズマ分布の制御モデルの開発を目指す。特に、磁場形状を含むプラズマ分布の空間対称性の破れと乱流、及びその構造形成過程のモデル化を行い、制御性までを明らかにする。本研究で鍵となる大域構造による乱流の捕捉機構のロバスト性を明らかにする。その上で、新古典効果や巨視的電場構造の効果等もモデルに組み込む事で、改善閉じ込め遷移や内部輸送障壁の形成機構を内在した輸送モデルの開発を目指す。
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Causes of Carryover |
国内の共同研究の打ち合わせがインターネットで行われる事が多くあり、十分に打ち合わせを推進する事ができず、対面での共同研究作業を先送りにする必要があった。そのため、次年度使用額が生じた。次年度は、対面での共同研究打ち合わせを活発化する費用に当てると共に、昨年度までの成果をヨーロッパ物理学会において発表する。
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