2022 Fiscal Year Research-status Report
Research on dynamical response of transport barrier in magnetically-confined plasma
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21K03513
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
伊藤 公孝 中部大学, 先端研究センター, 特任教授 (50176327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 健作 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 那珂核融合研究所 先進プラズマ研究部, 上席研究員 (60360426)
佐々木 真 日本大学, 生産工学部, 講師 (70575919)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 輸送障壁発生機序 / 大域的弾道的熱輸送 / 乱流の捕捉 / リミットサイクル / 崩壊現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、磁化閉じ込めプラズマの乱流構造の代表的現象として、特に(a)L-H遷移、(b) 内部輸送障壁の形成機構、さらには(c)H-モード輸送障壁の自律的変動、に関わる動的応答を対象に選ぶ。これらの対象に、最新のプラズマ乱流理論「強相関乱流」の展開を応用する。こうした方法論によって、従来から未解決だった諸問題(例えば、L-H遷移での二段階遷移や遅い遷移、内部輸送障壁(ITB)の発生動態、そしてH-モード障壁でのedge-harmonic oscillation (EHO)や中規模のedge-localized modes (ELM))に理解を与えることを目標とする。 この目標を達成するために、初年度には、①まず、径電場による揺動の捕捉効果により弱い輸送障壁が生まれる端緒をシミュレーションで見出し、遅いL-H遷移をもたらす可能性の研究が進み出した。②第二に、ITBの問題については、通説とは異なる仮説(スケール混交条件下での乱流構造形成)を提示していたが、それに加え、この研究で、大域的なバリステイックな熱輸送の消失がITBの発生を促すという、発生機構に関する全く新たな描像を実験により見出した。③第三に、周辺輸送障壁の自発的変動を研究した。輸送障壁ではELMと呼ばれる崩壊現象が知られており、peeling modeによるというのが通説である。その通説が不十分であることを示すため、安定・不安定境界付近でpeeling modeが爆発せずリミットサイクル状態を示す条件(EHOのモデル)を理論的に求め、それを実験で検証することができた。通説とは異なり、Type-I ELMと呼ばれる大規模な輸送障壁の崩壊現象では、tearing modeが突発していることを実験観測で発見した。今後は、それが爆発的に成長するする状況について研究を展開してゆく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に沿って研究成果は理論研究・実験研究共に順調に進展している。その内実は、「研究実績概要」に述べたとおりである。もし、コロナ禍がなければ、共同研究者同士が直接会ってアイデアを交換する研究交流により、さらに成果が上がったものと想像している。
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Strategy for Future Research Activity |
「研究実績の概要」に述べたように、この研究計画は順調に進行しているので、現方針に従って研究手順を進める。 ①まず、遅いL-H遷移の研究では、径電場曲率の正負による揺動の捕捉―排斥効果の研究を進め、それによって生まれる密度変動を研究する。その密度変動が遅い輸送障壁形成過程へと発展する条件をシミュレーションと理論により探索し課題ごとに論文にまとめる。②第二に、内部輸送障壁(ITB)については、発生機序について、通説とは異なる新仮説(大域的な弾道的な熱輸送の消失がITBの発生を促すという全く新たな描像)を、JT-60U実験装置の実験結果の中に前年度見出した(論文投稿中)。この実験結果の分析を進め、他の実験装置での再現実験などにも取り組み、本研究で得られた新仮説を確立するための努力を続ける。③第三に、周辺輸送障壁の自発的変動については、ELM(edge-localized modes)と呼ばれる崩壊現象があり、それに対し現代的データ解析手法を活用して研究を進めている。その結果、通説とは異なり、Type-I ELMと呼ばれる大規模な輸送障壁の崩壊現象では、tearing modeが突発していることを実験観測で発見した。これは重大事象であるType-I ELMに全く新しい説明を与えるもので、長い間の謎に対する極めて重要な知見である。今後は、それが爆発的に成長するする状況について、代表者らが創案した突発現象モデルを当てはめるなど、定量的な研究水準へと展開させる。 以上の成果を論文等を通じて広く発信する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、国際会議が延期され、研究成果報告の予定が次年度に変更された。また、国内の共同研究作業もwebに制限されることが多く、対面共同作業を必須とするものも一部次年度に先送りせざるを得なかった。それらの理由により次年度使用額が生じた。
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Research Products
(6 results)