2021 Fiscal Year Research-status Report
表面波プラズマのフィラメント配列とプラズマフォトニック結晶
Project/Area Number |
21K03519
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
向川 政治 岩手大学, 理工学部, 教授 (60333754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 貴晴 八戸工業高等専門学校, その他部局等, 助教 (50435400)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マイクロプラズマ / 自己組織化 / 散逸ソリトン / プラズマフォトニック結晶 / 容量結合方式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、屈折率の周期構造をマイクロプラズマの自己組織化で実現し、電磁波制御デバイスとしてのプラズマフォトニック結晶の実現方法として提案する。この研究を通じて、電磁波と散逸ソリトンの基本相互作用(電磁場がプラズマ自己組織化に及ぼす相互作用)の学理を探求する。 令和3年度では、(1)大気圧窒素マイクロギャップDBD におけるストライプ構造の観測、(2)大気圧マイクロ波放電プラズマを用いたフィラメント状構造の生成とそのプラズマ特性の測定を行った。 大気圧窒素マイクロギャップDBDの観測では、ストライプ構造の観測例は多いが、詳しくは調べられていなかったので、この放電のストライプ構造をICCDカメラによる撮影と、画像処理の手法を用いて解析した結果、空間配列の基本構造はフィラメント状であり、その移動によりストライプに見えることがわかった。移動速度は、少なくとも 3.0 "m/s" であることがわかった。 大気圧マイクロ波放電プラズマを用いたフィラメント状構造の生成では、10GHz近傍の電磁波の制御を想定したPPCの構築を念頭におき、高密度プラズマによるフィラメント状構造の生成を試みた。空洞共振器としての円筒金属容器内に棒電極を設置する新たなプラズマ生成方法を考案し、1本の棒電極上でフィラメント状放電を生成した。入射電力および回路の整合条件を変化させることにより、最大投入電力720 W、電源入射電力200-900 Wの条件で、フィラメント長は最大36.8 mmを示し、4.1-36.8 mm の範囲の制御可能であることがわかった。また、フィラメント長が最大値に達した後にさら入射電力を増加させると反射が増大し、導波路などでの損失が増加する。発行分光分析により電子密度を評価したところ、フィラメント長の増加とともに電子密度は減少することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、屈折率の周期構造をマイクロプラズマの自己組織化で実現し、電磁波制御デバイスとしてのプラズマフォトニック結晶の実現方法として提案し、この研究を通じて、電磁波と散逸ソリトンの基本相互作用(電磁場がプラズマ自己組織化に及ぼす相互作用)の学理を探求することを目的としている。科研費申請時の当初計画では、令和3年度はBSO 結晶のポッケルス効果による電荷密度分布測定をパルスレーザとCCDカメラの組み合わせで行うこととしていたが、予想外の予算配分の少なさの関係で入手できず、再度見送ることとなった。しかし、本研究には実験や計算において多くの方向性があるので、本来の目的を達成するためこの方法にこだわらず、研究室内の資源を活用し、その結果、空洞共振器としての真空容器内でのマイクロ波プラズマを生成させ、その特性の調査結果を学会で公表できる状態にまでこぎつけた。またこれと同時に、新たな方向性も見いだされたので、結果的に進捗は順調とみなせることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、令和3年度の研究と並行して、大気圧窒素マイクロギャップDBDの観測を行い、ガスの流速や温度などの各種条件の下でICCDカメラを用いてストライプ構造の短時間観測を行う。今年度の窒素放電の自己組織化の観測調査の結果、フィラメント配列の隙間に線状や微細スポットが観測され、これはフィラメントの六角構造の形成の初期に表れることが知られている。これは、以前に観測したヘリウムマクロギャップDBDでは観測できなかったことであり、令和3年度の研究の成果を手掛かりに、六角構造の生成の起源を実験的に探ること可能性を模索するための基礎情報の収集を行う。BSO 結晶のポッケルス効果による自己組織構造の電荷密度分布測定については、CCDカメラの入手を別財源に求め、継続可能性を模索したい。また、大気圧マイクロ波放電プラズマを用いたフィラメント状構造の生成では、準大気圧下での生成に取り組む。今年度の大気圧下でのマイクロ波放電のフィラメント構造形成の調査の結果、フィラメント長のある程度の制御が可能となったが、現状では、複数本のフィラメント構造の生成は困難であるので、今後は放電をより容易にするため、準大気圧下での生成に取り組み、フィラメントの長さや電子密度の圧力依存性を調査する。、また、複数本のフィラメントの生成の可能性を模索し、プラズマフォトニック結晶への応用に近付ける。これにおいて、空洞共振器内の電磁界分布の知見が有用と思われるので、実験的な手法で電界強度分布の推定を行う予定である。
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Causes of Carryover |
計測用の直流バイポーラ電源を購入する予定であったが、発注後に世界的な半導体不足のため入手できなくなったたため、次年度に繰り越して購入の機会をうかがうこととした。
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Research Products
(11 results)