2022 Fiscal Year Research-status Report
ビーム実験による次世代半導体Ga2O3のプラズマエッチング表面反応機構の解明
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21K03522
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊藤 智子 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (10724784)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | プラズマエッチング / 次世代パワーデバイス / イオンビーム |
Outline of Annual Research Achievements |
酸化ガリウム(Ga2O3)は、次世代パワーデバイス用ワイドギャップ半導体材料として注目を集めている材料であり、将来、Ga2O3パワーデバイスの実用化にあたって反応性プラズマエッチングプロセスの開発が必至である。Ga2O3に対する反応性プラズマプロセスの開発には、どのようなプラズマ活性種が、どのようなエネルギーを持って表面に入射し、どのような反応を、どのような割合で起こすのかといったプラズマ活性種毎の反応素過程を定量化し、プラズマ固体表面反応を理解した上でプラズマプロセスを構築する必要がある。本課題では、反応性プラズマ中の多様な活性種(イオン、ラジカル、分子等)とGa2O3表面との反応について、活性種ビーム照射実験によりプラズマ中の活性種毎の反応素過程を明らかにすることでプラズマ固体表面反応機構の解明を目的とする。反応性プラズマ活性種の中でエネルギーを持って基板に入射する反応性イオンが最もエッチング反応に寄与すると考えられることから、所望の質量のイオンのエネルギーを精細に制御してイオンビームを照射可能な質量分離イオンビーム装置を用いて、イオンビーム照射によるGa2O3のエッチング特性の評価を行った。Ga2O3のエッチングには、BCl3等の塩素を含んだ反応性ガスが用いられることから、22年度は、質量分離イオンビーム装置を用いて、2keV-4keVのCl+(塩素)イオンビーム照射し、Ga2O3のエッチングイールド測定を行った。また、前年度の得られているAr+(アルゴン)イオンによるエッチングイールドとの結果と比較を行い、Cl+イオンによる反応性を評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
22年度は、Ga2O3の反応性プラズマエッチングにBCl3等のハロゲンを含んだ反応性ガスが使用されることから、質量分離イオンビーム装置を用いて塩素イオン照射を行い、前年度得られたAr+とのイールドデータと比較を行うことで、塩素イオンによる化学的なエッチングの効果の評価を目的とした。しかしながら、学内の共通設備のイールドを算出するために使用する表面形状測定装置の公開が遅れ、Ar+イオンとの比較を行うためのデータが十分取得できなかったた。そのため、やや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度も引き続き、Si系半導体材料の反応性プラズマエッチングで用いられている三塩化ホウ素や(BCl3)フロロカーボンを用いたハロゲンプラズマとのエッチング特性を明らかにする。具体的には、質量分離イオンビーム装置を用いて塩素イオン、フロロカーボンイオンといったハロゲンイオンビーム照射実験を行い、21年度で得られた希ガス(Ar+)イオン照射のデータと比較することで、ハロゲンイオン種毎の化学的エッチング反応の評価を行う。また、24年度では、イオンビーム照射による試料表面の評価に、XPS(X線光電子分光装置)による表面分析も行う予定である。
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Causes of Carryover |
海外で国際会議の参加を見送ったことで旅費が減り、未使用が生じた。この未使用額は2023年度にオンサイトの学会の参加のために使用する予定である。
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