2022 Fiscal Year Research-status Report
Elucidating real-time dynamics using tensor networks
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21K03531
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
武田 真滋 金沢大学, 数物科学系, 准教授 (60577881)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | テンソルネットワーク / 実時間経路積分 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年は昨年度完成させた1+1次元実スカラー場理論のテンソルネットワーク表示を用いて、いくつかの粗視化法の検討を行った。テンソルネットワークの粗視化として標準的に使われているTRG(テンソルくりこみ群)やHOTRG(高次テンソルくりこみ群)では数値計算精度が劣化することがわかっていた。そこで、DMRG(密度行列くりこみ群)に触発された粗視化アルゴリズムを開発し、それを用いて実時間経路積分を評価すると計算精度が大幅に改善できることがわかった。これが今年度の大きな成果であった。 2022年9月に行われた日本物理学会秋季大会において、「実時間経路積分をテンソルネットワークで計算する」と題して企画講演の招待を受けた。数年ぶりの対面形式での開催であったこともあり、講演終了後の交流も盛んに行われ本研究の推進に大きな影響を与えただけでなく、広く同分野の研究者に対して成果を発表することができた。他にも、奈良女子大学物理学科において、テンソルネットワークに関する集中講義を行った。さらに、現在取り組んでいる実時間経路積分をテンソルネットワークで評価する方法についてのセミナーを行った。素粒子論だけでなく、原子核物理学や物性物理学の分野の研究者との交流もあり本研究を推進する上で重要な知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テンソルネットワークの粗視化において計算精度が劣化してしまう問題が生じたが、アルゴリズムの改良によって克服することができた。よって、将来的な展望に目処がついたことから、研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は粗視化アルゴリズムの目処がついたので、次の目標は相関関数を計算することである。相関関数を計算するためには不純物テンソルが入ったテンソルネットワークの粗視化が必要となるが、過去の自身の研究からそのノウハウはすでに得ている。また、最終目標の輸送係数の計算には、エネルギー運動量テンソルの相関関数も必要となる。そのために、先行研究の動向を把握し、場合によって共同研究が必要となる可能性もある。
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Causes of Carryover |
(理由)本年度に生じた残金は有意義な使用を行うには半端な金額となったため、次年度の助成金と合わせて使用することにより、より有効な使用計画が可能と なると判断した。 (使用計画)次年度に請求している助成金と合わせて、研究成果発表のための旅費や、学外から招聘する講師によるセミナー等を通じた専門知識の提供に対する 謝金として使用する予定である。これらを通して研究が最も効率的に推進できるように、研究費の使用については最大限の配慮を行う。
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