2022 Fiscal Year Research-status Report
BSM as Weyl-invariant quantum field theory
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21K03539
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
小田 一郎 琉球大学, 理学部, 教授 (40265517)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ワイル不変な重力理論 / BRST量子化 / 自発的対称性の破れ |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度には3本の論文を執筆し、米国物理学会の専門雑誌(Physical Review D)に投稿し、掲載された。Physical Review Dはインパクトファクターが5.4と高く、掲載されるのが難しい、評価の高い専門雑誌である。 具体的には、スケール不変な量子重力理論を構成したこと、ワイル不変なスカラー・テンソル重力理論の量子論を構成したこと、ワイル共形不変な重力理論のBRST形式を構成したことなどである。また、これらの理論に存在する大域的な対称性を明らかにし、その自発的な対称性の破れなどを調べた。さらに、これらの理論の物理的なS行列のユニタリー性を証明した。 特に、宇宙物理学の分野で重要な理論であるブランス・ディッケ重力理論は、スケール不変なスカラー・テンソル重力理論と古典的に等価であることが分かっている。本研究によって、ブランス・ディッケ古典重力理論に対応する量子重力理論を初めて構成したことは、宇宙論的にもきわめて重要であると思う。 今後は、これまでの研究を踏まえて、作用が共形テンソルの2乗の形で与えられるワイル不変なコンフォーマル重力理論に対する量子重力理論を構成すること(現在進行中)、この理論に存在する有質量のゴースト粒子の閉じ込め機構を明らかにすること、またワイル不変な正則化の手続きに基づいた理論を構成し、ワイル異常項がないことを示すことなどを研究したい。さらに、本研究をワイル幾何学の重力理論にも適用し、現在存在する未解決な問題、たとえば、宇宙項の問題、暗黒物質の問題、インフレーションの問題、ゲージ階層性の問題等を明らかにしたいと思っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究はおおむね順調に進展していると思う。実際、一昨年度は4本、昨年度は3本の本研究課題に関係している論文を執筆し、海外の専門雑誌に投稿し、掲載された。 本研究の最大の目標は、ワイル不変(コンフォーマル不変)な量子重力理論を構成することであった。すでに、スケール不変な量子重力理論、ワイル不変なスカラー・テンソル重力理論、コンフォーマル不変な量子重力理論は構成した。今後は、ワイル幾何学を土台にした量子重力理論を構成する予定である。 さらに、構成した理論の詳細な内容を調べるとともに、宇宙項の問題、暗黒物質の問題、インフレーションの問題等に応用したいと思っている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、リーマン幾何学を拡張したワイル幾何学に基づいて、ワイル不変性な量子重力理論を構成したい。この研究には、たくさんの大局的な対称性が存在することが期待されているので、その対称性の存在を証明すること、対称性の生成子を具体的に構成すること、物理的なS行列のユニタリー性を証明すること、重力的なコンフォーマル代数の存在を明らかにすること、その自発的な対称性の破れ方のメカニズムを明らかにすることなどの研究を行いたい。 今後は、ワイル不変なコンフォーマル重力理論に対する量子重力理論を構成すること、BRST量子化の方法に基づいて、この理論に存在する有質量のゴースト粒子の閉じ込め機構を明らかにすること、またワイル不変な正則化の手続きに基づいた理論を構成し、ワイル異常項がないことを示すことなどを明らかにしたい。 さらに、構成した理論の応用として、宇宙項の問題、暗黒物質の問題、インフレーションの問題等を考察したいと思っている。
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Causes of Carryover |
COVID19のために、出席を予定していた国際会議が中止になったり、オンライン講義になったりして、海外出張をするための予算が余ってしまった。 次年度は、7月に韓国で開かれる国際会議や8月末にギリシャで行われる国際会議に対面で出席することが決まっている。また、ギリシャでの国際会議後に、イタリアのパドヴァ大学に約2週間滞在し、共同研究する予定である。
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