2021 Fiscal Year Research-status Report
磁場と内部構造を持つ連星中性子星の一般相対論的準平衡解
Project/Area Number |
21K03556
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
谷口 敬介 琉球大学, 理学部, 准教授 (70586528)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 中性子星 / 連星中性子星 / 準平衡解 / 内部構造 / 連星系 / 数値計算 / 一般相対論 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、連星中性子星の合体時に放出される重力波の観測データを解析することにより、中性子星の状態方程式の情報を得ることができるようになった。さらに詳細な中性子星内部の情報を得るためには、中性子星の内部構造や磁場構造を取り入れた一般相対論的な連星中性子星モデルを数値的に構築することが必要である。本研究では最終目標として、中性子星の中心部分に存在するコアが超流体中性子と超伝導陽子の2流体で構成されているとし、さらに中性子星が磁場を伴っている状態で、連星中性子星の進化系列の準平衡段階での物理過程を解明することを掲げている。このモデルによって構成した準平衡解を用いて、内部構造や磁場構造が中性子星の潮汐変形度などの物理量に対して与える影響を調べ、さらに、その準平衡解を連星中性子星合体シミュレーションの初期データとして提供し、重力波物理学に貢献することを目指している。 今年度の当初計画では、まだ磁場は考慮に入れず、中性子星全体を中性子と陽子で構成された2流体の完全流体として扱い、連星中性子星の一般相対論的準平衡解を数値的に求めることを目指していた。この計画を遂行するためには、大きく分けて二つの研究を行う必要がある。一つ目は、中性子星を2流体で扱った場合の定式化を行うことであり、二つ目は、その定式化を用いて一般相対論的な連星中性子星の準平衡解を求めるための数値計算コード開発を行うことである。今年度はこれらの研究のうち、定式化部分を行い、完成させた。しかしながら、年度内に数値計算コードを完成させることはできなかった。 上記の研究と並行して、ブラックホール-中性子星連星の数値的研究に関する総説を共同執筆し、国際誌に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の研究計画は、①中性子星全体を2流体の完全流体として扱った場合について、一般相対論に基づいた定式化を行う、②その定式化を用いて数値計算コードを開発し、準平衡解を構成する、というものであった。 これらの研究を遂行するため、交付決定後にまず過去の関連論文を精査した。その後、定式化に着手したが、新型コロナウイルス感染症の第5波、第6波のため、研究以外の業務等に時間を割かざるを得ない状況になり、結果として定式化を終えることはできたが、数値計算コードを完成させることはできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
まずはじめに、今年度で完成した定式化を用いて、中性子星全体を2流体として扱った連星中性子星の一般相対論的準平衡解を求めるための数値計算コード開発を引き続き行う。この数値計算コード開発は、次年度の前半を目処に完成させる。次に、中性子星全体を1流体として扱い、連星系内のそれぞれの中性子星に磁場を与えた場合について、連星中性子星の一般相対論的準平衡解を求めるための定式化を行う。さらに、次年度内に磁場を伴った場合の数値計算コード開発に取り掛かる。
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Causes of Carryover |
今年度は、新型コロナウイルス感染症の第5波、第6波があったため、専門的知識を提供してくれる研究者の招聘や、自身による他研究機関の訪問ができず、旅費等に使用する予定であった助成金を繰り越すことになった。 繰り越した金額の一部は、次年度の助成金で購入予定の計算機のスペックを上げるために使用し、残りは専門的知識を提供してくれる研究者の招聘に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)