2021 Fiscal Year Research-status Report
Flavor physics in models beyond the standard model
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21K03572
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
久野 純治 名古屋大学, 素粒子宇宙起源研究所, 教授 (60300670)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 電気双極子能率 / CP対称性の破れ / フレーバーの物理 |
Outline of Annual Research Achievements |
ニュートリノ質量を量子補正によって導く拡張されたScotogenic模型における電子の電気双極子能率の評価を行なった。先行研究ではシングレットフェルミオンを導入する最小cotogenic模型を仮定した電子の電気双極子能率の評価であったが、我々は弱相互作用をするフェルミオンによる拡張を行い、その模型での評価を行なった。先行研究での計算間違いを正すとともに、弱相互作用をするフェルミオンを導入したことで、より大きな電子の電気双極子能率が予言されることを示した。 素粒子標準模型におけるCPの破れの起源は小林・益川行列にある位相であるが、CP対称性の破れに感度がある中性子の電気双極子能率への寄与はとても小さいことが知られている。Wボゾンからなるレインボー型の2ループのダイアグラムの寄与は、非自明な相殺によってクォークの電気双極子能率を導かないが知られている。我々はこれが電磁相互作用のゲージ対称性から導かれることに着目し、ワード・高橋恒等式によりフェルミオンの頂点補正と自己エネルギー補正が関係付くことから以上の相殺が導かれることを示した。このことは、標準模型を超える素粒子模型の広い範囲の模型に拡張可能で、レインボー型の2ループダイアグラムがフェルミオンの電気双極子能率を導く条件を明らかにした。以上の結果はJHEPに掲載された。なお、この結果は上述のScotogenic模型における電子の電気双極子能率の研究で非自明なレインボー型の2ループダイアグラムの相殺を発見したことから、その一般性を明らかにすることで導いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
拡張されたScotogenic模型における電子の電気双極子能率の評価は予定されていた内容であり、それが完了した。またそこから非自明なレインボー型の2ループダイアグラムの相殺の一般論ができたことは、予想外の点であった。現在は、研究計画に記した強いCP対称性の破れの問題を解決する左右対称模型の研究を行なっている。順調に進んでいると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に記した強いCP対称性の破れの問題を解決する左右対称模型の研究を行なっている。左右対称性が保たれているときは、対称性によりQCDθパラメータはゼロであるが、現実の世界では左右対称性は破れており、その結果QCDθパラメータはゼロ出なくなることが期待される。中性子の電気双極子能率からQCDθパラメータに対して上限値があり、先行研究ではざっくりした計算によりその上限値より1、2桁小さい値が予言されることが指摘されている。現在、その予言を精密に評価することを進めている。定式化はほぼ終わっており、その計算の妥当性を確認できたら、数値的に評価する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナにより海外渡航ができず国際会議へ参加等ができなかった。
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