2022 Fiscal Year Research-status Report
最先端マイクロ波観測で探る原始重力波と新たな時間軸天文学の開拓
Project/Area Number |
21K03585
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
茅根 裕司 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 量子場計測システム国際拠点, 特任助教 (90649675)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 解析 / アクシオン / 暗黒物質 / 宇宙マイクロ波背景放射 / マイクロ波観測 / データ解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、時間軸に着目した宇宙観測データの活用が注目されている。その中でも本研究では、マイクロ波帯での観測における時間軸解析に焦点を当てて研究を進めてきた。特に、これまでに宇宙マイクロ波背景放射の直線偏光が時間振動することで探索が可能な、Axion-like particle (ALP)の研究を進めている。 POLARBEAR実験は2012年から2017年まで南米チリ・アタカマ砂漠から宇宙マイクロ波の観測を行なってきた。研究代表者は観測当初から観測データの解析を主導してきた。本研究ではこれまでにvalidationを完了した「重力レンズ起源信号」に特化した小スケール観測データを活用したデータ解析を進めてきた。2022年度ではその解析を終え、ALPに制限を課すことに成功した(mass range: 9.6e-22<m_phi<2.2e-20 eV; coupling: g_phi-gamma<2.4e-11 GeV^(-1)x(m_phi/1e-21 eV))。 同時に、POLARBEAR実験のupgrade実験であるSimons Arrayを使ったマイクロ波背景放射観測を進めている。安定した観測実現のためにこれまでに、観測・装置を遠隔地からモニタリングできる"LiveMonitor"システムの開発をおこなってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
POLARBEAR実験のデータを使った、宇宙マイクロ波背景放射の偏光角の振動によるAxion-like particleへの制限をかけることに成功し、現在論文を投稿している。Simons Arrayによる同種の観測・解析の準備も進めており、順調に進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
投稿中の論文をいち早く出版するとともに、宇宙マイクロ波背景放射観測データ以外の時間軸データ、例えば同じくPOLARBEAR実験による全天で最も明るい偏光源であるカニ星雲の観測データを使ったAxion-like particleへの制限解析を進める。また、現行のマイクロ波背景放射観測実験であるSimons Arrayによる観測とデータ解析を強力に押し進めていく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍における出張計画に変更が生じたため。世界各国のコロナ対策の状況を鑑みながら、所属研究機関のルールーに則りながら今後は積極的に海外に出張し、これまで途絶えていた研究交流、研究会への参加、観測を進めていく。具体的には共同研究を進めている米国、イタリア、フランスへの出張、および観測サイトであるチリへの出張を検討する。
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