2021 Fiscal Year Research-status Report
三核子系分解反応実験による核力の相対論的効果と多体効果の統括的解明
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21K03590
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
前田 幸重 宮崎大学, 工学部, 准教授 (50452743)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 三体力 / 核力 / 中性子 / 原子核 |
Outline of Annual Research Achievements |
原子核を核力レベルから理解することは物理学における大きな目標の1つと言えるが、原子核を理解する上での核力の三体力効果の役割、近年益々重要視されている。本研究では、①中間エネルギー領域における陽子-重陽子分解反応実験を行い三核子系分解反応における相対論的効果の検証をする、さらに②7He→(3n)+4He反応という不安定核ビームの分解反応を解析し、軽い不安定核中における3中性子相関状態を研究する。研究①として、阪大RCNPで 2H(p,2p)反応の微分散乱断面積測定実験を実施する。研究②として、理研RIBFで実施済みの陽子-8He散乱測定のデータから、三中性子同時計測イベントの解析を行う。この2つの研究を同時に進めて理論との比較を行うことで、中間エネルギー領域の分解反応における「相対論的効果」と「三体力効果」を定量的且つ詳細に理解し、この2つの効果を取り入れた核反応理論を用いて不安定核分解反応における三中性子相関状態を理解する。将来的には、本研究結果を足がかりに、核力の多体効果(三体力)のアイソスピン三重項(T=3/2)成分に関する直接的検証を行うことを目標とする。 今年度は、阪大RCNPで実施する予定の実験計画について、理研・九工大の共同研究者を中心として議論を進めた。また理研で取得した陽子-8He散乱実験のデータ解析については、1中性子検出イベントである5He→n+4He分解反応チャンネルの解析を行い、5Heの不変質量を導出して過去のデータと比較した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
阪大RCNPは2021年度までAVFサイクロトロンのアップグレード工事を進めており、共同実験用のビームタイムが供給されていなかった。また、実験課題申請の受付も中止されていた。そこで2022年度以降にビームタイム申請する予定の本研究の実験の具体的な計画について、理論・実験の両面から議論・検討を進めた。特に、三体力効果と相対論効果を分離して検証できる反応チャンネル及び最適な測定条件を割り出して実験を遂行することは、本研究において重要であり、来年度以降具体的に実験準備を進める前に理論グループとの議論を進めたことは、本年度の成果である。 2017年に理研RIBF施設で実施した8He(p,2p)7H実験はテトラ中性子共鳴状態探索を主目的としたものであった。この反応の測定では4中性子同時計測が行われたが、同時に1、2、3中性子検出イベントのデータ取得も行われている。本研究では、最終的には3中性子検出イベントの解析から軽い不安定核中における3中性子相関状態に関する知見を得ることを目的としているが、本年度は、宮崎大学におけるデータ解析環境を整え、解析の初段階として1中性子検出イベントの解析から開始した。中性子検出器および荷電粒子検出器のデータの較正を行った後、5He→n+4He分解反応チャンネルの解析を行い、5Heの不変質量を導出して過去のドイツ及び中国のデータと比較し、誤差の範囲で一致することを確認し、我々のデータ解析の正当性を確認した。 よって概ね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
阪大RCNPはAVFサイクロトロンのアップグレード工事を完了し、2022年度から段階的に共同実験用のビーム供給を開始することになった。それに伴い、2022年度は新規ビームタイム申請の受付が再開されると期待される。よって本研究のためのビームタイム申請を行う。申請のために、サイクロトロンのアップグレード後のビーム供給状況に応じて、本研究の実験計画を修正・確定していく。申請が認められた後は、共同研究者の協力の下に実験を遂行し、データ解析を進め、結果について理論研究者との議論を進めて国際会議等で発表する。 理研RIBFのデータは、昨年度までの解析で得られた知見を元に、2中性子検出チャンネルの解析に進み、6Heの不変質量を導出する。6Heの不変質量に関する既存データは少ないので、結果は理論研究者との議論を進めて国際会議等で発表する。その後、3中性子検出チャンネルの解析に進み、7Heの不変質量と、3中性子状態の不変質量スペクトルを導出する。結果は理論研究者との議論を進めて国際会議等で発表する。
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Causes of Carryover |
コロナにより出張が制限され、予定していた旅費の執行ができなかった。2022年度からは代表者及び共同研究者の出張制限が緩和され、打ち合わせや実験準備等を進める予定であるので、適切に執行できる。
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Research Products
(2 results)