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2022 Fiscal Year Research-status Report

次世代ニュートリノ実験における大強度ミューオンの測定

Research Project

Project/Area Number 21K03591
Research InstitutionOsaka Metropolitan University

Principal Investigator

山本 和弘  大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (80303808)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywords電子増倍管 / EMT
Outline of Annual Research Achievements

長基線ニュートリノ振動実験であるT2K実験では。レプトンセクターのCP対称性の破れの発見を目指してJ-PARCでの加速器のビーム強度増強が行われている。その時に問題になってくるのが、ニュートリノ生成時に発生するミューオンを測定するミューオンモニターの放射線劣化の問題である。そこで、ミューオンモニターに使用する新たな検出器の候補である電子増倍管(EMT)の開発を行っている。EMTは小型の光電子増倍管の光電面をアルミ蒸着
にしたものであり、ミューオンの衝突によりダイノードから発生した二次電子を増幅することでミューオンの照射量を測定する。前年度の研究から高い放射線耐性を有していることが確認されているが、測定開始時に数%から十数%の信号が低下しその後安定する様子が確認されている。これを初期不安定性と呼び、令和4年11月に東北大学電子光理学研究センター(ELPH)でビームテストを行い、この原因が温度依存性によるものであることが高いことを突き止めた。また、EMTも長い時間をかけて放射線劣化し、J-PARCのメインリングの将来強度(1.3MW)換算で1050日程度では10%の減少が見られる。この原因追及のため、EMT本体とデバイダー回路に高強度ビームを照射し、その後それぞれに劣化していないデバイダー回路とEMTを接続して応答を見たところ、EMT本体に照射した方に信号の減少を見たことから、放射線劣化の原因はEMT本体にあることを見出した。また、EMT本体のうちカソードまたはダイノードが劣化しているのかを調べるために、カソードと1段目ダイノード間をショートさせた改造デバイダー回路を用いて実質的にカソードの劣化の影響はない測定を行った。その結果、EMTの放射線劣化の原因はダイノードに蒸着されたアルカリアンチモンの劣化である可能性が高いことを見出した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2021年度に電子増倍管が高い放射線耐性を持つこと、すなわちJ-PARCのメインリングの将来強度(1.3MW)換算で100日間ビーム照射を続けても信号の減少が3%以下に抑えられること、また、1000日分換算の照射でも10%の信号減少に抑えられることを確認できたことに加え、2022年度はEMTの信号の初期不安定性の原因が温度依存性によるものであることが高いことを突き止めたこと、EMTの放射線劣化の原因がブリーダー回路ではなく、EMT本体にあることを見出したこと、およびEMT本体の放射線劣化の原因がダイノードに蒸着されているアルカリアンチモンの劣化である可能性が高いことを見出したことは、評価に値すると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

電子増倍管の個体差を調べるためにJ-PARCニュートリノビームラインにおいて10~20個の電子増倍管に同時に大強度ミューオンを照射してゲインの違いなどの応答の違いを見る大量試験を行う。これで問題が無ければ、7×7の碁盤目状にEMTを設置して、ミューオンのプロファイルの測定に移り、プロファイル中心が3cmよりも高精度で測定できるか確認する。プロファイル中心が3cmの精度というのは、ニュートリノビームの方向が1mradの精度に相当する。

Causes of Carryover

科研費使用時に端数の計算を誤り、7円が残ってしまった。次年度の物品費として使用する予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2023 2022

All Journal Article (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Scintillator ageing of the T2K near detectors from 2010 to 20212022

    • Author(s)
      K. Abe, T. Honjo, T. Kobata, T. Okusawa, Y. Seiya, N. Teshima, K. Yamamoto et al. (The T2K Collaboration)
    • Journal Title

      Journal of Instrumentation

      Volume: 17 Pages: -

    • DOI

      10.1088/1748-0221/17/10/P10028

    • Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
  • [Presentation] T2Kミューオンモニター用電子増倍管のビームテストで用いるビームプロファイル測定用64素子Siフォトダイオードアレイの較正2023

    • Author(s)
      川村悠馬, 石塚正基, 市川温子, 笠間奏平, 木河達也, 佐藤雪音, 坂下健, 清矢良浩, 瀧藤航一, 中村輝石, 本條貴司, 安留健嗣, 山本和弘, 山本達也, Ferdinand Oderich, Megan Friend
    • Organizer
      日本物理学会2023年春季大会
  • [Presentation] T2K実験次期ミューオンモニター性能評価のための遷移放射光による電子ビームプロファイル測定2022

    • Author(s)
      笠間奏平, 市川温子, 瀧藤航一, 中村輝石, 川村悠馬, 清矢良浩, 本條貴司, 山本和弘, 山本達也, 石塚正基, 木河達也, 安留健嗣, 松原綱之, Megan Friend, 中平武, 他T2K Collaboration
    • Organizer
      日本物理学会2022年秋季大会

URL: 

Published: 2023-12-25  

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