2023 Fiscal Year Annual Research Report
Research on the galactic cosmic-ray acceleration and propagation by the direct measurement of the cosmic-ray nuclei
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21K03592
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
赤池 陽水 早稲田大学, 理工学術院, 主任研究員(研究院准教授) (70726744)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 銀河宇宙線 / 衝撃波加速 / 銀河内伝播 / 二次核一次核比 / 国際宇宙ステーション / カロリメータ / 宇宙線原子核 / CALET |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、国際宇宙ステーション搭載の宇宙線観測機CALET(Calorimetric Electron Telescope)のデータを解析し、主要な原子核のエネルギースペクトルを測定することで銀河宇宙線の加速・伝播機構の解明に貢献することである。 本研究期間中に、陽子とヘリウムの観測エネルギー領域をそれぞれ60TeVと250TeVまで進展し、数100GeVにおけるスペクトルの硬化と10TeV領域におけるスペクトルの軟化を測定した。宇宙線が銀河内で伝播中に生成される二次核の代表的な粒子であるホウ素と、一次核の炭素のスペクトル、およびその比のエネルギー依存性を3.8TeV/nまで測定した。特に、スペクトル硬化の変化量が一次核(炭素)よりも二次核(ホウ素)の方が大きいことを示唆する結果は、宇宙線の加速・伝播モデル検証に重要である。重原子核である鉄とニッケルについても、それぞれ2TeV/nと240GeV/nまで測定した。これらはこれまでにない高統計の測定結果であり、鉄/ニッケル比のエネルギー依存性が一定である結果は、両者が類似した加速・伝播機構を経ていることを示唆している。 最終年度では、7.5TeVに至る電子+陽電子のエネルギースペクトルを導出した。1TeV付近におけるスペクトルのカットオフを6σ以上の有意度で測定し、近傍加速源の存在を示唆する結果が得られた。さらに、太陽活動に伴う陽子と電子の電荷の違いに対する宇宙線強度の変動を測定し、ドリフト効果が宇宙線の太陽変調に大きな役割を果たしていることを示した。 上記の成果はすべてPhysical Review Letters誌から発表している。そして、これらを含む多様な成果に基づき、CALETは2030年までの運用延長が決定した。
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Research Products
(13 results)