2023 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of event reconstruction technique for fluorescence telescope in future huge cosmic ray observatory
Project/Area Number |
21K03605
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
池田 大輔 神奈川大学, 工学部, 助教 (60584258)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 極高エネルギー宇宙線 / 大気蛍光望遠鏡 / フレネルレンズ / 再構成手法の開発 / 装置開発 / 光学シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
将来の極高エネルギー宇宙線観測実験として、既存の実験の10倍を超える有効検出面積を持ち、化学組成に感度のある大規模実験が期待されている。このような実験を実現するための観測手法として、大気蛍光望遠鏡を簡素化した次世代大気蛍光望遠鏡が有力な候補として挙がっている。本研究は、本手法を確立するために、次世代大気蛍光望遠鏡で得られた宇宙線事象に対する事象再構成手法の開発、焦点面検出器の最適化による安価な次世代大気蛍光望遠鏡をデザインすることの2つを目的としている。 2023年度には、2022年度までに国内で試験した新型焦点面検出器を用いて、米国ユタ州のTelescope Array(TA)実験サイトに新型広角望遠鏡を構築し、実機による宇宙線観測試験を実施した。TA実験との同時観測は夏期に実施され、新たに構築した望遠鏡が想定通り稼働していることを確認した。 観測期間全体を通じて、宇宙線事象の再構成手法については、光学素子で得られた波形情報を用いた新たな手法を開発した。最終デザインの望遠鏡では、本手法により宇宙線空気シャワーの到来方向を2.3°の精度で測定可能であることが分かっている。これは宇宙線の化学組成測定において、陽子とヘリウムを識別するために必要な要求値を満たしている。 一方、焦点面検出器の最適化は、まず光学シミュレーションを通じて素子の数、大きさ、形状による性能変化を詳細に理解した。その結果、当初の案である素子形状を三角形にする案は費用と性能を考慮して取りやめ、主にS/N比の向上を目的として試作機で用いた8インチのPMTを5インチのPMTへと小型化することとした。これを12素子搭載することで、望遠鏡1台の視野を試作機の8°×8°から、24°×18°へと大幅に広げた広角望遠鏡をデザインした。また米国TA実験サイトに実機を構築し、試験観測により実機での性能を評価することができた。
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Research Products
(2 results)