2023 Fiscal Year Annual Research Report
A new type of accretion flow in high-mass X-ray binaries with circumstellar disks
Project/Area Number |
21K03619
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
岡崎 敦男 北海学園大学, 開発研究所, 特別研究員 (00185414)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 大質量連星系 / Be星 / 星周円盤 / 潮汐相互作用 / 恒星風 / 降着円盤 / X線 |
Outline of Annual Research Achievements |
大質量X線連星系の約半数を占めるBe/X線連星系は、Be星と呼ばれる星周円盤を持つ大質量星と中性子星からなる連星系である。Be/X線連星系は通常時はX線で静穏状態にあるが、時折、星周円盤中のガスが中性子星に大量に降着することでX線アウトバーストと呼ばれる現象を生じる。多くのBe/X線連星系で星周円盤が連星軌道面に対して傾斜している(以下、傾斜系)と考えられるので、Be/X線連星系のX線活動を理解するには傾斜系における降着流の振る舞いを理解することことが必要である。 2022年度までに行ったいくつかの数値シミュレーションでは、傾斜系でBe星の恒星風を考慮した場合には考慮しない場合よりも降着率がずっと小さくなるという結果が得られたが、それが連星軌道要素やBe星の物理量などのパラメータにどう依存するかというところまでは調べることができていなかった。 そこで2023年度には、まず連星軌道要素やBe星のスペクトル型などのパラメータのよく決まっている13の系に対して、降着流が存在できるために必要な質量輸送率(Be星星周円盤から中性子星に向かって単位時間あたりに輸送されるガス量)を解析的に求めたところ、多くの系でX線アウトバースト時の降着率に匹敵するほどの質量輸送率がないと降着流が存在できないという結果となった。これは、それらの系ではX線静穏状態の起源が恒星風による降着流の剥ぎ取りであることを意味している。このような描像が得られたのははじめてのことであり、現在論文にまとめているところである。 さらに、上記解析結果から恒星風の影響が大きいことが期待される系1つとあまり影響がないことが期待される系1つに対して、数値シミュレーションを行ったところ、後者においても降着流が恒星風の強い影響を受けるという予想外の結果となった。現在、解析的な結果との整合性について検討しているところである。
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