2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K03630
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
北井 礼三郎 立命館大学, 法学部, 非常勤講師 (40169850)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一本 潔 京都大学, 理学研究科, 教授 (70193456)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 太陽物理学 / 大気加熱 / 太陽磁場 / プラージュ |
Outline of Annual Research Achievements |
太陽物理学上の残された謎の一つであるプラージュ域での彩層加熱機構を観測的に解明することを目指すことを目的とした研究である。本研究の推進のため、(1)補償光学装置および高分解分光装置を備えた京都大学理学研究科飛騨天文台ドームレス太陽望遠鏡を用いて高空間・高時間分解能で可視域多波長分光観測を実施し、さらに(2)高速撮像装置を新規に導入しスペックルマスキング法を用いて光球及び彩層の空間的微細構造の時間変化を行った。(3)同時にIRIS衛星による極端紫外線多波長分光観測データを取得した。この観測研究は2021年7月および8月にそれぞれ1週間の期間で、国際共同観測という形で実施した。8月26日、27日、28日の3日間に、(2)の良質なデータを取得した。現在その解析を実施中である。 この研究では、高速撮像装置の開発のためのC-MOSカメラの新規購入を行った。半導体不足の為その納品が10月となり今年度の観測には使用できなかったものの次年度以降の観測で活用する予定である。 この研究の一環として、ドイツのGregor望遠鏡で2018年に行われたプラージュ域での多波長偏光分光観測データを解析した。その結果を、Measurements of Photospheric and Chromospheric Magnetic Field Structures Associated with Chromospheric Heating over a Solar Plage Region: Tetsu Anan, Thomas A. Schad, Reizaburo Kitai et al.,The Astrophysical Journal, Volume 921, Number 1, (2021)として公刊した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)飛騨天文台における観測は、計画通り実施できた。現在そのデータを解析中である。 (2)観測をグレードアップするための新規カメラの導入ができた。次年度の観測時に使用可能状態になっている。 (3)本課題に深く関係する観測がドイツのGREGOR望遠鏡で取得されていた。これを共同解析することで、プラージュ域での加熱機構について3次元的な知見を得ることができた。本課題で行おうとしているのは、このプラージュ域での加熱3次元構造の時間変化を研究することであり、その基礎的知見を確立することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)2021年度の観測データの解析を継続する。 (2)飛騨天文台での観測は継続実施する。既に今年度のドームレス太陽望遠鏡での観測計画は申請済で、同天文台から承認がなされている。 (3)米国ハワイにあるDKIST太陽望遠鏡における観測計画募集(第2サイクル)が、今年なされる予定であり、それに応募すべく準備を進めている。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍の為、予定した出張が取りやめとなったため、繰り越しとなった。この分は次年度に旅費として使用を予定している。
|