2022 Fiscal Year Research-status Report
Understanding the mass growth process of supermassive black holes from ALMA high-angular-resolution observations
Project/Area Number |
21K03632
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
今西 昌俊 国立天文台, ハワイ観測所, 助教 (00311176)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 超巨大ブラックホール / 活動銀河中心核 / 分子ガス / ALMA / 干渉計 / 電波 / ミリ波 / サブミリ波 |
Outline of Annual Research Achievements |
宇宙に存在する銀河の中心には、ほぼ100%の確率で超巨大ブラックホールが存在し、銀河の星と中心の超巨大ブラックホールの質量の間には相関があることが観測から分かっている。従って、銀河と超巨大ブラックホールは互いに影響を及ぼし合いながら、「共進化」してきたと考えられている。今まさに超巨大ブラックホールに盛んに物質が落ち込んで活動的になり、周囲の降着円盤が非常に明るく輝いている活動銀河中心核は、宇宙の超巨大ブラックホールの質量成長を理解する上で極めて重要な天体である。電波の(サブ)ミリ波で高空間分解能が実現し、超巨大ブラックホールのすぐそばに存在する高密度分子ガスからの輝線を観測できるALMAは、本研究を進める上で極めて強力な観測施設である。
本年度は、活動銀河中心核を持つ合体銀河の、183GHzの水メーザーのALMA観測データを詳しく解析した。これまでより10倍近く高解像度になったことにより、向こう側に遠ざかる成分とこちら側に近づく成分を空間分解して、回転運動の検出に成功した。そこから、中心の超巨大ブラックホールの質量が太陽の1000万倍から1億倍程度であると見積もった。また、10個の合体銀河の中心核の分子ガスの物理的性質を詳細に調べ、活発に質量降着する超巨大ブラックホールを持つ銀河は、そうでない銀河に比べて、より高密度で高温の分子ガスが中心核付近に集中して分布していることを定量的に見出した。研究結果を主著査読論文として投稿し、受理された(Imanishi et al. 2023 ApJ in press, arXiv:2303.08178)。一連の研究成果に関して、国際学会で50分の招待レビュー講演を1回、招待講演を1回、国内の研究会で1回の招待講演を行った。また、私が成果創出に重要な貢献をした共著査読論文も11編出版/受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、質量降着する超巨大ブラックホールを持つ合体銀河の、ALMAによる観測成果を主著査読論文として1編投稿し、受理された(Imanishi et al. 2023, ApJ in press, arXiv:2303.08178)。国際研究会で1回の招待レビュー講演(50分)、1回の招待講演、国内研究会で1回の招待講演を実施することができた。私が成果創出に重要な貢献をした共著査読論文も11編出版/受理された。これらの実績を元に、研究は順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
合体銀河で、質量降着している超巨大ブラックホールのすぐそばから放射されている水メーザー輝線を用いて、中心の超巨大ブラックホールの質量を最も精度良く導出できることを示したが、より高解像度の観測データを取得することにより、より精度の高い結果を出していきたい。水メーザー輝線は、他の分子ガスに比べて、超巨大ブラックホール近くの領域から選択的に放射されるため、最も高い精度が実現し、信頼性も高い。また、近傍のよく研究されている代表的な活動銀河中心核NGC1068を、ALMAを用いて最も高解像度で多面的に観測することにより、宇宙の超巨大ブラックホールにどのように物質が落ち込んで活動的になり、周囲の降着円盤が明るく輝くのか? という重要な問いに対する日本独自の説得力のある回答を提示していきたい。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で、国内外で開催される研究会参加のための出張を控えてきたため、旅費の使用実績がコロナ前に策定した計画よりも少なめになっている。コロナが終息を迎えつつある今、国内外の研究会に積極的に現地参加し、自身の成果を世界に公表して日本の存在感を示すための活動を再開していきたいと考えている。
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Research Products
(31 results)