2021 Fiscal Year Research-status Report
Association between auroral breakups and oxygen ions in Earth's magnetotail
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21K03639
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
家田 章正 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 助教 (70362209)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 酸素 / オーロラ爆発 / 電荷交換衝突 / 電離圏 / 磁気圏 |
Outline of Annual Research Achievements |
オーロラは大気の発光であり、地球では数時間に一度、爆発的に増光する。このオーロラ爆発は、地球磁気圏に蓄積した磁気エネルギーが、突発的に解放される過程の投影である。このエネルギー解放の機構は、磁力線をつなぎ替える磁気再結合であると考えられている。しかし、磁気再結合が発生しても、オーロラ爆発は必ずしも発達しないことが、応募者の研究でわかってきた。この不対応を理解するために本研究では、磁気圏プラズマの主成分である水素イオンに加え、水素イオンより質量が16倍も重い酸素イオンに着目する。本研究の目的は、地球磁気圏尾部の酸素イオンが磁気再結合・オーロラ爆発におよぼす影響を観測的に解明することである。本年度は、酸素原子と酸素原子イオンの衝突断面積の解明を行った。電離圏と磁気圏の結合を理解するためには、電離圏電気伝導度を定量的に把握することが必要である。電気伝導度の主体は、イオンと中性粒子の衝突断面積である。この断面積は、電荷交換衝突と分極衝突の2つの成分を持つ。両成分が等しくなる遷移温度は、電離圏温度(200-2000 K)付近である。これまでの電離圏研究では、遷移温度付近における両成分の結合を、誤解により無視してきた。本研究では、両成分の結合をカーブ粒子軌道効果(粒子軌道が曲がることにより電荷交換衝突断面積が実効的に増大する効果)により表現した。その結果、遷移温度において、トータルの断面積は電荷交換成分から22%増大することを見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、酸素原子と酸素原子イオンの衝突断面積の解明を行い、次の題名の論文として発表した:Ieda, A. (2022). Curved trajectory effect on charge-exchange collision at ionospheric temperatures. Journal of Geophysical Research: Space Physics, 127, e2021JA029612. https://doi.org/10.1029/2021JA029612. この研究成果は、電離圏から磁気圏への酸素の流出を定量的に解明するために必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
酸素原子と酸素原子イオンの衝突断面積モデルを作成することにより、磁気圏における酸素イオン密度の議論を行う準備をする。その後、MM衛星取得の磁場・プラズマデータを用いて地球磁気圏尾部におけるプラズモイドの酸素イオン密度と、地球電離圏におけるオーロラ爆発の規模との関係を明らかにする。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、所属研究機関の計算機環境の大幅な変化があったために、計算機の購入を延期したためである。使用計画として、この計算機を次年度購入する。
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Research Products
(2 results)