2022 Fiscal Year Research-status Report
ホモキラリティ円偏光を用いた系外惑星生命探査: その実現に向けた地球観測
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21K03648
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
高橋 隼 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 特任助教 (80648957)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 装置開発 / 生命探査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はで、月面地球照を観測し、地球のホモキラリティ円偏光を測定することを目指す。本年度は、精密偏光観測装置 POPO の開発を前年度から継続した。POPOは「月面地球照を観測によるホモキラリティ円偏光の測定」を実現するために必要な装置である。「高速位相変調」という技法を用いることで高精度の(直線および円)偏光観測を可能にする。
前年度までに、既存の高速位相変調型の観測装置と同等の装置、すなわち、直線偏光のみ測定可能で撮像機能のない装置を開発までを完了した。本年度は「部分的な撮像装置化」および「円偏光観測機能の追加」を行った。撮像機能の追加は、本研究地球照観測に必要である。POPOには2系統の光学系があるが、このうちの一方にCMOSカメラを取り付け、撮像機能を持たせた。2022年7月に、兵庫県立大学の2mなゆた望遠鏡にPOPOを取り付け、初の直線偏光撮像観測を行った。Rバンド2.9等の無偏光標準星を10分間の連続観測したところ、直線偏光の度合いを表すストークスパラメータの標準誤差は 9.3 ppmであった。ほぼ目標通りの精度が得られた。
さらに、POPOの光学系に 1/4波長板挿入機構を導入し、円偏光観測機能を追加した。この改良の際、半波長板も光学系に挿入できるようにした。これまで直線偏光度の導出に必要なQ/I 観測と U/I観測を切り替えるには、装置全体を光軸周りに45度回転させる必要があった。今回の改良により、装置を回転することなく半波長板の挿入退避でQ/I 観測と U/I観測を切り替えられるようになり、観測の時間的効率が高まることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
観測を実現するための装置開発がほぼ計画どおりに進捗し、期待する精度も得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度はPOPOの「完全な撮像装置化」を行い、ハードウェア開発に区切りをつける。さらに、効率的に観測を行うためのソフトウェア開発も本格化する。これらにより、POPOによる実観測を早期に開始する。
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Causes of Carryover |
POPOを完全な撮像装置とするために、今年度、2台目の高速カメラを購入した(1台目は前年度に購入済み)。当初の見込みでは本課題を含め複数の研究費を合算して購入する予定であった。購入前に、複数の機種を取り寄せて性能試験をしたところ、想定機種よりも安価なカメラが最適であることが分かり、本課題からの支出が不要になった。一方で、このカメラの採用により光学系の一部変更が必要になったため、未使用の研究費は新しい光学系の開発に充てる。
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Research Products
(3 results)