2023 Fiscal Year Research-status Report
ホモキラリティ円偏光を用いた系外惑星生命探査: その実現に向けた地球観測
Project/Area Number |
21K03648
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
高橋 隼 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 特任助教 (80648957)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 装置開発 / 生命探査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、月面地球照を観測し地球のホモキラリティ円偏光を測定することを目指す。この観測を実現するために、精密偏光観測装置 POPOを開発する。POPOは、「高速位相変調」という技法を用いることで高精度の(直線および円)偏光観測を可能にする。今年度はPOPOの「完全な撮像装置化」を達成した。 前年度の段階では、POPOが持つ2系統の光学系のうちの一つに高速カメラが取り付けられ、片方の光学系でのみ撮像観測が可能であった(もう片方の光学系では空間分解能のない測定)。月面地球照の観測では、背景光の正確な除去のために撮像(光強度の空間分布の取得)が重要である。今回、もう一方の光学系にも高速カメラを取り付け、2台のカメラと液晶位相変調器を高速(最高 200 Hz)で同期制御することで、両系統での偏光撮像観測が可能になった。 POPOを西はりま天文台なゆた望遠鏡に取り付け、2台のカメラによる天体の偏光撮像観測に成功した。2.7等(Rバンド)の無偏光標準星を5分間観測したところ、直線偏光の度合いを表すストークス q, u の標準誤差は両カメラとも 約20 ppmであった。円偏光の度合いを表すストークス v の標準誤差も 約20 ppmであった。ほぼ想定どおりの精度が出ている。 2台目のカメラを取り付けるにあたり、偏光分離素子をウォラストンプリズムからキューブ型素子に変更した。ウォラストンプリズムの分離角度に波長依存性があるため、変更前の光学系で天体像が波長分散され細長く伸びてしまう問題があった。キューブ型素子に変更したことで波長分散がなくなり、天体(点源)像がほぼ真円になることを確認した。 これまでの開発により、本研究で実施する観測に必要な「円偏光観測機能」および「撮像機能」の実装ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画通り、観測装置POPOの基本機能の実装が完了したため。
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Strategy for Future Research Activity |
観測装置POPOについて必要な機能の実装は達成したが、主として観測の効率化のための軽微なハードウェア改良やソフトウェア開発が必要である。また、簡易的な性能確認は実施済みであるが、詳細な性能評価も必要である。これらの完了後、西はりま天文台にて月面地球照を含む太陽系天体の円偏光観測を実施する。
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Causes of Carryover |
キューブ型偏光分離素子は特注での製作で高価になることを想定していたが、検討の結果、比較的安価な既製品で対応可能であると判断し、本課題からの支出が不要になった。次年度、観測効率化のためのハードウェア改良に使用する。
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