2022 Fiscal Year Research-status Report
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21K03650
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
長澤 真樹子 久留米大学, 医学部, 教授 (00419847)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 惑星形成・進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の計算をさらに拡張し,複数個の木星型惑星コアが存在する状態で,1つのコアが木星へと成長するときに生じる軌道不安定について検討を続けた.初年度にいくつか試した計算では,1つのコアが成長すると他のコアはほとんど残れず,複数の木星型惑星が近接して形成されるような条件は見つけられなかった.そこで,木星が大きくなりすぎることが散乱を導いている可能性があると考え,木星が成長する最大サイズが異なる場合について調べることにした.惑星コアが一千万年で木星質量の約2.5倍まで成長した場合と,一千万年で約4.5倍まで成長した場合について,初期の軌道の角度変数をランダムに振って150ランずつ計算を実施した.最大サイズの異なる両者を比較したところ,残念ながら,木星程度の質量までコアが成長する場合,数倍程度の最終サイズの違いは結果に重要な寄与を持たない,との結論となった.探している複数の木星型惑星が近接して残る最終状態は,どちらの場合にも見られなかった.エキセントリックプラネットと呼ばれる系外惑星のように,2つの惑星が離れて残る場合は,2.5倍の場合も4.5倍の場合のいずれも2%程度であり,コアの衝突の回数や放出の数などもほぼ差異が見られない.惑星形成論的には,惑星コアはヒル半径の10倍程度の間隔で並ぶことが示唆されているが,この間隔では,2.5倍まで成長する場合と4.5倍まで成長するどちらの場合も,基本的に成長しているコアの隣のコアが散乱された段階で,系全体が不安定になってしまう.つまり,ある程度惑星コアが成長してヒル間隔的に隣のコアと近くなるかどうかが鍵であって,その質量以上であれば,最終的な質量には依存しないと推測される.こうしたことから,複数の木星型惑星が数ヒル以内に残るためには,ガス抵抗など,離心率を下げて系全体の不安定を押さえる効果が必須であろうと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に開発した計算コードでパラメーターサーベイを行う予定の通りに,条件を変えた計算を規模を大きくして実施できた.ガス抵抗を含めた計算までは至らなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,惑星成長がある場合の惑星コアの安定性についてパラメーターサーベイを続ける.成長速度や惑星間隔,初期位置の依存性などについて検討を進めていく.ガス抵抗などの円盤の効果を含めた計算コードを引き続き開発していく.
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Causes of Carryover |
都合がつかず,学会に参加できなかったため.来年度以降の学会や研究会への参加の出張費に充てたい.
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Research Products
(1 results)