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2021 Fiscal Year Research-status Report

FPGAによる混合精度浮動小数点演算を用いた数値気象モデルの実証研究

Research Project

Project/Area Number 21K03663
Research InstitutionKobe University

Principal Investigator

山浦 剛  神戸大学, 都市安全研究センター, 特命助教 (00632978)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywords数値気象モデル / 演算精度 / 演算加速器 / FPGA / 数値誤差
Outline of Annual Research Achievements

本研究課題の要諦は、『ユーザー側で制御可能な演算加速装置』といえるFPGAを用いて、データが肥大化しがちな数値気象モデルの演算をより効率的に行うことである。そのため令和3年度では、本研究課題の実施前に予備実験用として2次元浅水波モデルに実装していた演算精度エミュレータを、数値気象モデルを作成するための気象基盤ライブラリ『SCALE』に改めて実装し直し、現実的な条件下での気象現象の再現実験を行えるように調整した。このテスト結果は良好で、想定通りに演算精度エミュレータが動作していることを確認することができた。
演算精度エミュレータは浮動小数点演算における演算精度に直接関係する仮数部ビットを1ビット単位で調整することができる。このビット操作を気象現象の再現実験の途中に挿入し、意図的に精度を下げるようにした。気象現象は決定論的カオスにより、異なる初期条件下では時間進行によって場が大きく変化し得るが、多数の僅かな誤差を含ませて数値実験を行うことで、その変化を確率として予測することができる。従来、その誤差は初期条件の中に含ませることが一般的であり、数値実験の演算そのものには確率的な操作を含ませない。本研究では数値誤差をその確率的に挿入される誤差として扱うことで、余計な演算コストをほとんど必要とせずに従来同様のアンサンブル確率予報が行える可能性があることを示した。この成果については、課題代表者の本務先である理化学研究所内の研究会で発表を行った。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

概要で示したように、2次元浅水波モデルで動作していた演算精度エミュレータを、通常の気象予報が行えるような数値気象モデル、その内部を構成する気象基盤ライブラリ『SCALE』に実装し、現実的な気象現象の再現実験において演算精度エミュレータが期待通りに動作することを確認できた。演算シミュレータを用いて現実的な条件での再現実験を行うことは、本研究課題の研究計画における第一段階といえる。この数値誤差によるアンサンブル確率予測が、従来の手法によるものと同等程度の性能を持つことを定量的な指標でもって評価し、論文としてまとめて投稿する予定である。
また現実的な条件での再現実験による確率予測を円滑に行うため、観測データを数値気象予測の中に取り込む手法が必要となる。現業の気象予報ではこの観測データの取り込みが当然行われているが、課題代表者が主として利用しているSCALEライブラリにはこの仕組みが存在しなかった。そのため、理化学研究所のデータ同化研究チームと連携し、現業の気象予報における観測データの取り込み手法と同等以上の性能を発揮する、局所アンサンブル変換カルマンフィルタ(LETKF)によるデータ同化手法をSCALEに実装した。これにより、再現実験によるアンサンブル確率予測手法について、現業の気象予測と同様の評価手法を利用することが可能となる。

Strategy for Future Research Activity

令和4年度の研究については、研究計画の第一段階の仕上げとして、演算精度エミュレータを用いた混合精度浮動小数点演算によるアンサンブル確率予測の評価をまとめ、原著論文として国際学術誌に投稿する予定である。
続く研究計画の第二段階として、その混合精度浮動小数点演算をハードウェア上で行うことができるFPGAを用いて、実際に余計な演算コストを必要とせずに従来のアンサンブル確率予測と同等以上の演算パフォーマンスを得られるかを確認する。そのためにはFPGAの操作が必要となるが、この習熟には多少の期間を要すると考えられるため、第一段階のまとめと並行して実施していく。昨年度はコロナ禍による半導体不足により、FPGAおよびそれを載せるための計算用サーバの値段が高騰したこともあり、想定していた性能の機器を購入することができなかった。今年度はFPGAを搭載した計算用サーバを購入し、SCALEとFPGAの連携を実装していく予定である。

Causes of Carryover

令和3年度はコロナ禍による半導体不足により、FPGAおよびそれを載せるための計算用サーバの値段が高騰したこともあり、想定していた性能の機器を購入することができなかった。このため、令和4年度に改めて本研究サーバを購入する予定である。

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Published: 2022-12-28  

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