2021 Fiscal Year Research-status Report
Innovating assimilation of non-Gaussian image-like observations
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21K03668
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
堀田 大介 気象庁気象研究所, 気象観測研究部, 主任研究官 (60805365)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | データ同化 / ガウス分布 / 自己符号化器 |
Outline of Annual Research Achievements |
数値天気予報において衛星画像等の稠密で面的な観測データの重要性が増してきているが、稠密・面的な観測データの同化には「次元の冗長性」「観測誤差相関」「観測誤差の非ガウス性」という3つの困難がある。 本研究では、機械学習分野で開拓されてきたアイデアを援用してこれら3つの困難が解決可能を探求する。非ガウス分布する面的観測データに対して、機械学習手法の一種である変分自己符号化器を用いた前処理を施すことで次元の削減と分布のガウス化を行い、前処理済みのデータを、ガウス分布を仮定した既存の手法で同化することを試みる。 計画では、台風の位置ずれを赤外画像の同化で修正することを模した理想実験の実施により、提案する手法の有用性を検証することを2021年度中の目標としていた。 研究は目標通りに実施することができ、変分法やアンサンブル・カルマンフィルター等の既存の手法では同化により台風を模した同心円状の構造が歪んでしまう一方、提案手法では構造の歪みを生じることなく同心円状の構造を保ったまま位置ずれを修正することが可能であることが確認できた。また、変分自己符号化器により自動的に評価される潜在空間での分布の分散を用いることで、訓練データから大きく外れた外れ値を自動的に除外できることも見出した。この性質は実運用を想定した場合、観測または第一推定値の品質管理に活用できる。 これらの新しい知見を、複数の国際研究集会(オンライン開催)にて発表し、良いフィードバックを得ることもできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に記した通り、研究は計画通りに順調に進展し、当初の予見通りの知見が得られている。また、変分自己符号化器の特性により自動的に外れ値を検出する品質管理が可能であることなど、提案手法に当初に予期しなかった好ましい性質があることを発見することができ、研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は2021年度の研究成果の出版に向けた作業を急ぐとともに、当初の計画を踏襲し、提案手法を簡単な2次元流体モデルに適用することでより現実的な設定での実用可能性の検証を進める。 理想実験を通じて新たに見出した、外れ値を検出する機能の有用性に着目し、今後の2次元流体の理想実験の実施にあたっては、外れ値を事前に取り除く自動的な品質管理機能の有用性を強調するよう実験設定を工夫する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス禍により旅費の執行が困難となったこと、また論文の執筆が遅れたことで論文投稿料・掲載料として積算していた「その他」の費目が執行できなかったこと等により次年度使用額が生じた。 繰越た金額は次年度に論文掲載料等として執行予定。
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Research Products
(3 results)