2022 Fiscal Year Research-status Report
Mechanism of heavy precipitation change due to global warming
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21K03670
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
水田 亮 気象庁気象研究所, 気候・環境研究部, 主任研究官 (80589862)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 地球温暖化 / 高解像度気候モデル / 極端降水 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、大雨の頻度や強度が地球温暖化に伴ってどの程度変化するかについて、変化を量的に規定しているのはどのようなプロセスであるかを解明することを目的としている。当該年度においては、研究代表者のグループで実施した、20世紀中頃から21世紀末までの150年連続アンサンブル実験結果について解析を行った。この実験では温暖化による変化の不確実性について調べるため、大気内部の年々変動を表現する初期値アンサンブル、将来変化強制に用いる気候モデルによる違いを表現するモデルアンサンブル、海洋・結合系の数年から十年スケールの内部変動を表現する内部変動位相アンサンブルといった複数の種類のアンサンブル実験を行い、不確実性の幅を相対的に評価した。まず平均降水量の将来変化率について、各アンサンブル実験のメンバー間スプレッド(標準偏差)から、それぞれの不確実性要因による変化予測値のばらつきを評価したところ、3種類のスプレッドを合計したものが、変化強制に用いた気候モデル自身の実験結果でのモデル間スプレッドに近い分布や大きさになっており、3種類のアンサンブル実験により気候モデル間に見られる不確実性の大きさの多くの部分を表現できることがわかった。次に年最大日降水量変化についてメンバー間スプレッドを年代別に比較したところ、21世紀末にはモデルによる温暖化予測の不確実性が支配的になる一方で、21世紀後半までは大気の内部変動による不確実性が大きい、ただし熱帯の海洋上については年々変動の位相による不確実性が大きいことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は高解像度気候モデル相互比較プロジェクト (HighResMIP) の下で世界各機関が行った全球の高解像度予測モデル実験結果を中心的に用いる計画だったが、それに加えて研究代表者のグループで実施しているアンサンブル気候予測実験も組み合わせて解析を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
水蒸気量増加を超えて大雨の強度が増加する場合のプロセスの評価について、世界各機関が行った全球の高解像度予測モデル実験結果に加えて、研究代表者のグループで実施するアンサンブル気候予測実験も組み合わせて解析を行う。その際、季節や地域、大雨をもたらす現象による差異についても考慮する。
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Causes of Carryover |
参加した研究集会・研究打ち合わせの多くがオンライン実施となり、旅費の使用が計画より少なかった。翌年度以降の研究集会参加・研究打ち合わせを追加して使用する。
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