2023 Fiscal Year Annual Research Report
テフラ粒子の数値化による新たな広域テフラの検出:500万年間の破局噴火の発生頻度
Project/Area Number |
21K03676
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
長橋 良隆 福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (10292450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 香子 新潟大学, 災害・復興科学研究所, 教授 (00378548) [Withdrawn]
里口 保文 滋賀県立琵琶湖博物館, 研究部, 上席総括学芸員 (20344343)
中川 和重 福島大学, 共生システム理工学類, 准教授 (00586274)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 広域テフラ / 破局噴火 / 火山ガラス / 粒子形状 / 走査電子顕微鏡 / 発生頻度 |
Outline of Annual Research Achievements |
INCA Featureで測定できる粒子形状の項目は,外周(μm),長さ(μm),幅(μm),方向(角度),面積(μm),アスペクト比,円相当径(μm),形状値(外周の2乗/4π×面積)である.ここでの長さは平行する2本の直線に挟まれた最大長さ(Maximum Feret diameter)である.幅は,最大長さとそれに直交する矩形を粒子の外形に当てはめたときの幅を表す.ここでは,火山ガラスのアスペクト比について述べる. まず,姶良Tn火山灰(町田,1976,ATテフラ)は,大規模火砕流噴出に伴うco-ignimbrite ashとして形成されたもので,扁平型の火山ガラスを主体とすることが知られていることから,アスペクト比が形状を規定する示標として重要であると予想される.ATテフラについては,噴出源から約1100km離れた複数の試料の火山ガラスの粒子形状解析を行ったところ,そのアスペクト比は2.4から2.9であった.また,給源からの距離に対してアスペクト比にはほぼ相関がない.軽石型の火山ガラスのアスペクト比(多くは2.0以下)と比較してATテフラのアスペクト比は高く,これはアスペクト比が極端に高くなる扁平型の火山ガラスを多く含むからと考えられる. 次に,琵琶湖高島沖で掘削された湖底堆積物コアと大阪湾岸で掘削されたボーリングコアに挟まるテフラを対象とした(長橋ほか,2004).測定結果が得られたco-ignimbrite ash18試料の火山ガラスのアスペクト比は,平均2.5(2.0から3.2)であり,主にプリニー式噴火によると考えられる44試料の火山ガラスのアスペクト比は,平均1.8(1.6から2.3)である.光学顕微鏡による火山ガラスの形状比(偏平型,中間型,多孔質型)とアスペクト比とを比較すると,偏平型火山ガラスの含有量とアスペクト比には正の相関があり,多孔質型火山ガラスの含有量とアスペクト比には負の相関がある.
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